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December 19, 2024 Vol. 391 No. 24

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多剤耐性結核に曝露した小児に対するレボフロキサシンによる予防的治療
Levofloxacin Preventive Treatment in Children Exposed to MDR Tuberculosis

A.C. Hesseling and Others

背景

世界では,15 歳未満の小児約 200 万例が多剤耐性(MDR)結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に感染しており,毎年約 30,000 例が MDR 結核を発症している.MDR 結核に曝露した人に対する結核の予防的治療に関して,無作為化比較試験のエビデンスは少ない.

方 法

南アフリカで地域ベースの多施設共同二重盲検クラスター無作為化プラセボ対照試験を行い,細菌学的に確認された MDR 肺結核の成人に家庭内で曝露した小児を対象に,予防的治療としてのレボフロキサシンの有効性と安全性を評価した.5 歳未満の小児は,インターフェロンγ遊離試験の結果やヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染状態にかかわらず試験への組入れに適格とし,5~17 歳の小児は,インターフェロンγ遊離試験陽性または HIV 感染陽性の場合に適格とした.各世帯を試験レジメンに無作為に割り付け,それらの世帯の小児にレボフロキサシンまたはプラセボを 1 日 1 回,24 週間投与した.主要有効性評価項目は,無作為化後 48 週目までの結核の発症(結核による死亡を含む)とした.主要安全性評価項目は,投与期間中の,試験レジメンに関連する可能性が少なくともあるとされたグレード 3 以上の有害事象とした.

結 果

497 世帯の 922 例のうち,453 例がレボフロキサシン群,469 例がプラセボ群に割り付けられた.参加者の 91.0%が 5 歳未満であった.各試験群の参加者の 86%が,割り付けられた用量の 80%以上のレボフロキサシンまたはプラセボの投与を受けた.48 週目までに,レボフロキサシン群の 5 例(1.1%)とプラセボ群の 12 例(2.6%)が結核を発症した(ハザード比 0.44,95%信頼区間 [CI] 0.15~1.25).感度分析の結果は,主要解析の結果と一致した.投与期間中の,試験レジメンに関連する可能性が少なくともあるとされたグレード 3 以上の有害事象は,レボフロキサシン群の 4 例とプラセボ群の 8 例に発現した(ハザード比 0.52,95% CI 0.16~1.71).グレード 2 の腱炎が,レボフロキサシン群の 1 例に発現した.

結 論

MDR 結核に家庭内で曝露した小児のうち,レボフロキサシンによる予防的治療を行った児は,結核の発症率がプラセボを投与した児よりも低かったが,その差は有意ではなかった.(ユニットエイドほかから支援を受けた.TB-CHAMP 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN92634082)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 2315 - 26. )