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July 25, 2024 Vol. 391 No. 4

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成人における測定可能残存病変陰性の急性リンパ芽球性白血病に対するブリナツモマブ
Blinatumomab for MRD-Negative Acute Lymphoblastic Leukemia in Adults

M.R. Litzow and Others

背景

成人の B 前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)患者の多くは,併用化学療法により測定可能残存病変(MRD)陰性の完全寛解が得られても再発する.MRD 陰性寛解患者の地固め療法に,再発または難治性の MRD 陽性 BCP-ALL の治療薬として承認されている二重特異性 T 細胞誘導分子ブリナツモマブを追加することが,有効である可能性がある.

方 法

第 3 相試験で,BCR::ABL1 陰性 BCP-ALL(:: は融合を示す)を有し,導入化学療法および強化化学療法後に MRD 陰性寛解(フローサイトメトリーで評価した骨髄中の白血病細胞が 0.01%未満と定義)を達成していた 30~70 歳の患者を,4 サイクルの地固め療法に加えてブリナツモマブ投与を 4 サイクル行う群と,4 サイクルの地固め療法のみを行う群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存とし,無再発生存を副次的エンドポイントとした.

結 果

有効性に関する 3 回目の中間解析の結果をデータ安全性モニタリング委員会が審査し,それを報告するよう勧告された.登録された 488 例のうち,395 例(81%)で血球数の完全回復の有無にかかわらず完全寛解が観察された.MRD 陰性を達成した 224 例が,112 例ずつ各群に割り付けられた.患者背景は群間で均衡がとれていた.追跡期間中央値 43 ヵ月の時点で,全生存に関してブリナツモマブ群の化学療法単独群に対する優位性が示され(3 年全生存率 85% 対 68%,死亡のハザード比 0.41,95%信頼区間 [CI] 0.23~0.73,P=0.002),3 年無再発生存率はブリナツモマブ群 80%,化学療法単独群 64%であった(再発または死亡のハザード比 0.53,95% CI 0.32~0.87).報告された神経精神系有害事象の発現率は,ブリナツモマブ群のほうが化学療法単独群よりも高かった.

結 論

MRD 陰性寛解を達成していた BCP-ALL の成人患者において,地固め療法にブリナツモマブを追加することで,全生存が有意に改善した.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.E1910 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02003222)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 320 - 33. )