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August 1, 2024 Vol. 391 No. 5

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多発性骨髄腫に対するベランタマブ マホドチン,ポマリドミド,デキサメタゾンの併用
Belantamab Mafodotin, Pomalidomide, and Dexamethasone in Multiple Myeloma

M.A. Dimopoulos and Others

背景

新たに診断された多発性骨髄腫患者の生存期間は,プロテアソーム阻害薬,免疫調節薬,抗 CD38 抗体を組み合わせた 3 剤または 4 剤併用療法により延長しているが,患者の大部分は再発する.レナリドミドによる一次治療により,初回再発時にレナリドミド抵抗性を示す多発性骨髄腫患者が増加している.

方 法

第 3 相無作為化非盲検試験で,レナリドミドを含む 1 レジメン以上の治療後に再発したか抵抗性を示した多発性骨髄腫患者を対象として,ベランタマブ マホドチン(belantamab mafodotin),ポマリドミド,デキサメタゾンの併用(BPd)を,ポマリドミド,ボルテゾミブ,デキサメタゾンの併用(PVd)と比較評価した.主要エンドポイントは無増悪生存とした.奏効と安全性も評価した.

結 果

計 302 例が無作為化され,155 例が BPd 群,147 例が PVd 群に割り付けられた.追跡期間中央値 21.8 ヵ月(範囲<0.1~39.2)の時点で,12 ヵ月無増悪生存率の推定値は,BPd 群 71%(95%信頼区間 [CI] 63~78)に対し,PVd 群 51%(95% CI 42~60)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.52,95% CI 0.37~0.73,P<0.001).全生存のデータは揃っていなかった.治療により奏効(部分奏効以上)が得られた患者の割合は,BPd 群 77%(95% CI 70~84),PVd 群 72%(95% CI 64~79)であり,完全奏効以上が得られた患者の割合は,それぞれ 40%(95% CI 32~48)と 16%(95% CI 11~23)であった.グレード 3 以上の有害事象は,BPd 群の 94%と PVd 群の 76%に発現した.眼有害事象は,BPd 療法を受けた患者の 89%(グレード 3 または 4 は 43%),PVd 療法を受けた患者の 30%(グレード 3 または 4 は 2%)に発現し,BPd 群ではベランタマブ マホドチンの用量変更によって管理された.BPd 群では,投与中止にいたった眼有害事象が 9%に発現し,PVd 群では発現しなかった.

結 論

レナリドミドによる治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫患者において,BPd 療法は,PVd 療法と比較して,無増悪生存に対する有意に大きな利益と,深く,持続する奏効をもたらした.ベランタマブ マホドチンでは眼有害事象の頻度が高かったが,用量変更によって管理可能であった.(GSK 社から研究助成を受けた.DREAMM-8 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04484623,EudraCT 登録番号 2018-00434-21)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 408 - 21. )