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August 22, 2024 Vol. 391 No. 8

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腎保護のためのアミノ酸静脈内投与の無作為化試験
A Randomized Trial of Intravenous Amino Acids for Kidney Protection

G. Landoni and Others

背景

急性腎障害(AKI)は,心臓手術の重篤かつ頻度の高い合併症であり,腎灌流低下が重要な寄与因子である.アミノ酸静脈内投与は腎灌流を増加させ,腎予備能を増加させる.しかし,心臓手術後の AKI 発症抑制におけるアミノ酸の有効性は明らかにされていない.

方 法

国際共同二重盲検試験において,人工心肺を使用する心臓手術を受ける予定の成人患者を,調整アミノ酸混合液 2 g/kg 理想体重/日を最長 3 日間点滴静注する群と,プラセボ(リンゲル液)を点滴静注する群に無作為に割り付けた.主要転帰は AKI 発症とし,AKI の定義には,国際腎臓病予後改善機構(KDIGO)のクレアチニン基準を用いた.副次的転帰は,AKI の重症度,腎代替療法の施行と期間,30 日全死因死亡率などとした.

結 果

3 ヵ国 22 施設で 3,511 例が登録され,1,759 例がアミノ酸群,1,752 例がプラセボ群に割り付けられた.AKI は,アミノ酸群では 474 例(26.9%)が発症し,プラセボ群では 555 例(31.7%)が発症した(相対リスク 0.85,95%信頼区間 [CI] 0.77~0.94,P=0.002).ステージ 3 の AKI は,それぞれ 29 例(1.6%)と 52 例(3.0%)が発症した(相対リスク 0.56,95% CI 0.35~0.87).腎代替療法は,アミノ酸群の 24 例(1.4%)と,プラセボ群の 33 例(1.9%)に施行された.その他の副次的転帰,有害事象に 2 群間で顕著な差はなかった.

結 論

心臓手術を受ける成人患者において,アミノ酸静脈内投与は,AKI の発症を抑制した.(イタリア保健省から研究助成を受けた.PROTECTION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03709264)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 687 - 98. )