The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 22, 2024 Vol. 391 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

死亡率を低下させるためのアジスロマイシン ― 適応型クラスター無作為化試験
Azithromycin to Reduce Mortality — An Adaptive Cluster-Randomized Trial

K.S. O'Brien and Others

背景

サハラ以南のアフリカでは,小児死亡率を低下させる介入として,小児に対するアジスロマイシンの年 2 回の集団配布が有望である.世界保健機関は,抗菌薬耐性を防ぐために,配布を生後 1~11 ヵ月の乳児に制限するよう勧告したが,年齢範囲を狭くした介入の試験はまだ行われていない.

方 法

ニジェールの村落を,生後 1~59 ヵ月の小児にアジスロマイシンを年 2 回,全 4 回配布する群(小児アジスロマイシン群),生後 1~11 ヵ月の乳児にアジスロマイシンを年 2 回,全 4 回配布し,生後 12~59 ヵ月の小児にはプラセボを配布する群(乳児アジスロマイシン群),生後 1~59 ヵ月の小児にプラセボを配布する群(プラセボ群)のいずれかに無作為に割り付けた.試験群の割付けを知らない人口調査員が,死亡率を年 2 回,2 年間観察した.主要転帰は村落レベルでの 3 つの死亡転帰(1,000 人年あたりの死亡数)とし,3 つの年齢区分について,群間でペアワイズ比較を行った.

結 果

1,273 村落が小児アジスロマイシン群(解析対象 1,229 村落),773 村落が乳児アジスロマイシン群(解析対象 751 村落),954 村落がプラセボ群(解析対象 929 村落)に無作為に割り付けられた.小児 382,586 人において,419,440 人年の観察期間中に,死亡 5,503 例が記録された.生後 1~59 ヵ月の小児における死亡率は,小児アジスロマイシン群(1,000 人年あたり死亡 11.9 例,95%信頼区間 [CI] 11.3~12.6)が,プラセボ群(1,000 人年あたり死亡 13.9 例,95% CI 13.0~14.8)よりも低かった(アジスロマイシン群のほうが 14%低いことを示す;95% CI 7~22,P<0.001).生後 1~11 ヵ月の乳児における死亡率は,乳児アジスロマイシン群(1,000 人年あたり死亡 22.3 例,95% CI 20.0~24.7)は,プラセボ群(1,000 人年あたり死亡 23.9 例,95% CI 21.6~26.2)よりも有意に低くはなかった(アジスロマイシン群のほうが 6%低いことを示す;95% CI -8~19).重篤な有害事象は 5 件報告され,内訳はプラセボ群 3 件,乳児アジスロマイシン群 1 件,小児アジスロマイシン群 1 件であった.

結 論

生後 1~59 ヵ月の小児に対するアジスロマイシンの配布は,死亡率を有意に低下させ,配布を生後 1~11 ヵ月の乳児に制限した介入よりも有効であった.抗菌薬耐性を観察する必要がある.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.AVENIR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04224987)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 699 - 709. )