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August 22, 2024 Vol. 391 No. 8

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進行腎細胞癌に対するベルズチファンとエベロリムスとの比較
Belzutifan versus Everolimus for Advanced Renal-Cell Carcinoma

T.K. Choueiri and Others

背景

低酸素誘導因子 2α阻害薬であるベルズチファン(belzutifan)は,初期相の試験で淡明細胞型腎細胞癌における臨床活性を示している.

方 法

第 3 相多施設共同非盲検実薬対照試験で,進行淡明細胞型腎細胞癌を有し,免疫チェックポイント阻害薬および血管新生阻害薬による治療歴のある患者を,ベルズチファン 120 mg を 1 日 1 回経口投与する群と,エベロリムス 10 mg を 1 日 1 回経口投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,病勢進行または許容できない毒性の出現まで投与した.主要エンドポイントは,無増悪生存と全生存の 2 つとした.重要な副次的エンドポイントは,客観的奏効達成(確定された完全奏効または部分奏効)とした.

結 果

374 例がベルズチファン群,372 例がエベロリムス群に割り付けられた.1 回目の中間解析の時点(追跡期間中央値 18.4 ヵ月)で,無増悪生存期間中央値は両群とも 5.6 ヵ月であり,18 ヵ月の時点で無増悪生存状態にあった患者の割合は,ベルズチファン群 24.0%,エベロリムス群 8.3%であった(両側 P=0.002 で,事前に規定した有意性の基準を満たした).客観的奏効割合は,ベルズチファン群 21.9%(95%信頼区間 [CI] 17.8~26.5),エベロリムス群 3.5%(95% CI 1.9~5.9)であった(P<0.001 で,事前に規定した有意性の基準を満たした).2 回目の中間解析の時点(追跡期間中央値 25.7 ヵ月)で,全生存期間中央値はベルズチファン群 21.4 ヵ月,エベロリムス群 18.1 ヵ月であり,18 ヵ月の時点で生存していた患者の割合は,それぞれ 55.2%,50.6%であった(死亡のハザード比 0.88,95% CI 0.73~1.07,両側 P=0.20 で,事前に規定した有意性の基準を満たさなかった).グレード 3 以上のあらゆる原因による有害事象は,ベルズチファン群の 61.8%(グレード 5 は 3.5%),エベロリムス群の 62.5%(グレード 5 は 5.3%)に発現した.有害事象により投与中止となった割合はそれぞれ 5.9%,14.7%であった.

結 論

進行淡明細胞型腎細胞癌を有し,免疫チェックポイント阻害薬および血管新生阻害薬による治療歴のある患者において,ベルズチファンは,エベロリムスと比較して,無増悪生存と客観的奏効に有意な利益を示した.ベルズチファンに関連する新たな安全性の懸念は認められなかった.(メルクシャープ アンド ドーム社 [メルク社の子会社] から研究助成を受けた.LITESPARK-005 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04195750)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 710 - 21. )