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September 5, 2024 Vol. 391 No. 9

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片頭痛予防に用いる抗下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチドモノクローナル抗体
A Monoclonal Antibody to PACAP for Migraine Prevention

M. Ashina and Others

背景

下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)の標的化は,片頭痛の新たな治療法である.PACAP リガンドに対するヒト化モノクローナル抗体 Lu AG09222 の静脈内投与の,片頭痛予防における有効性と安全性は明らかでない.

方 法

第 2 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,片頭痛を有し,2~4 種類の予防的治療が行われたが効果が得られなかった成人(18~65 歳)を登録した.試験は 4 週間の投与期間と 8 週間の追跡期間で構成された.参加者を,Lu AG09222 を 750 mg 投与する群,100 mg 投与する群,プラセボを投与する群に 2:1:2 の割合で無作為に割り付け,ベースライン時に単回点滴静注した.主要エンドポイントは,1~4 週目の期間における 1 ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量の平均とし,Lu AG09222 750 mg 群とプラセボ群とで比較した.

結 果

237 例が無作為化され,97 例に Lu AG09222 750 mg,46 例に 100 mg,94 例にプラセボが投与された.ベースライン時の 1 ヵ月あたりの片頭痛日数の平均は,集団全体で 16.7 日であった.1~4 週目の期間における 1 ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量の平均は,Lu AG09222 750 mg 群では -6.2 日であったのに対し,プラセボ群では -4.2 日であった(差 -2.0 日,95%信頼区間 -3.8~-0.3,P=0.02).12 週間の観察期間中に発現した有害事象で,Lu AG09222 750 mg 群のほうがプラセボ群よりも発現率が高かったものは,新型コロナウイルス感染症(7% 対 3%),鼻咽頭炎(7% 対 4%),疲労(5% 対 1%)などであった.

結 論

第 2 相試験において,Lu AG09222 750 mg の単回点滴静注は,投与後 4 週間の片頭痛の頻度の減少に関して,プラセボに対する優越性を示した.(ルンドベック社から研究助成を受けた.HOPE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05133323)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 800 - 9. )