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September 19, 2024 Vol. 391 No. 11

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重度の低酸素血症に対する 1 日 24 時間の長期酸素療法と 1 日 15 時間の長期酸素療法との比較
Long-Term Oxygen Therapy for 24 or 15 Hours per Day in Severe Hypoxemia

M. Ekström and Others

背景

重度の低酸素血症患者では,1 日 15 時間以上の長期の酸素吸入により生存期間が延長する.1 件の非無作為化比較試験に基づき,1 日 24 時間酸素を吸入する長期酸素療法が推奨されているが,このレジメンは負担がより大きい.

方 法

1 日 24 時間の長期酸素療法を行っても,1 年の時点での入院または死亡のリスクは,1 日 15 時間の長期酸素療法よりも低くならないという仮説を検証するため,重度の慢性安静時低酸素血症に対して酸素療法を開始する患者を対象に,登録に基づく多施設共同無作為化比較試験を行った.患者を,1 日 24 時間の長期酸素療法を行う群と,1 日 15 時間の長期酸素療法を行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は,1 年以内のあらゆる原因による入院または全死因死亡の複合とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.副次的転帰は主要転帰の各項目などとし,3 ヵ月,12 ヵ月の時点で評価した.

結 果

2018 年 5 月 18 日~2022 年 4 月 4 日に,計 241 例が,1 日 24 時間の長期酸素療法を行う群(117 例)と,1 日 15 時間の長期酸素療法を行う群(124 例)に無作為に割り付けられた.追跡不能例はなかった.12 ヵ月の時点で,患者が報告した 1 日あたりの酸素療法の継続時間の中央値は,24 時間群で 24.0 時間(四分位範囲 21.0~24.0),15 時間群で 15.0 時間(四分位範囲 15.0~16.0)であった.24 時間群の 1 年以内の入院または死亡のリスクは,15 時間群よりも低くなかった(発生率:100 人年あたりそれぞれ 124.7 件と 124.5 件,ハザード比 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.72~1.36,90% CI 0.76~1.29,非優越性の P=0.007).あらゆる原因による入院または全死因死亡の発生率,有害事象の発現率に群間で大きな差はなかった.

結 論

重度の低酸素血症患者に対して,1 日 24 時間の長期酸素療法を行っても,1 年以内の入院または死亡のリスクは,1 日 15 時間の長期酸素療法よりも低くならなかった.(クラフォード財団ほかから研究助成を受けた.REDOX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03441204)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 977 - 88. )