March 13, 2025 Vol. 392 No. 11
タンザニアにおける出産関連死を減らすためのプログラムの結果
Outcomes of a Program to Reduce Birth-Related Mortality in Tanzania
B.A. Kamala and Others
出産関連死は,世界,とくに低所得国において,死亡の負担に寄与する主要因子である.「より安全な出産のためのケアバンドル」プログラムは,出産関連死を減らすことを目標として,母子に対するケアの質を改善するために開発された介入の組合せである.
タンザニアの 5 つの地域にある,負担の大きい施設 30 ヵ所で,「より安全な出産のためのケアバンドル」プログラムの 3 年間のステップウェッジクラスター無作為化試験を行った.このプログラムは,現場でのシミュレーションに基づく定期的な研修,現地の臨床データの収集と活用,研修を受けた現地ファシリテーターによる支援,周産期ケアのための画期的なツールの使用という介入を通じて,継続的な質改善を目的としている.主要転帰は周産期死亡とし,分娩時の死産(分娩中の死亡が疑われるもの)と,出生後 24 時間以内の新生児死亡を含めた.
最終解析の対象は母親 281,165 例,児 277,734 例であった.周産期死亡の発生率の推定値は,プログラムのベースライン期間の出生 1,000 人あたり 15.3 例から,導入後は出生 1,000 人あたり 12.5 例に低下したが(補正後の相対リスク 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.73~0.92,P=0.001),地域間でのばらつきが大きかった.分娩時の死産の発生率は,ベースライン期間は出生 1,000 人あたり 8.6 例,導入後は出生 1,000 人あたり 8.7 例(補正後の相対リスク 1.01,95% CI 0.87~1.17)であり,出生後 24 時間以内の新生児死亡の発生率は,それぞれ出生 1,000 人あたり 6.4 例,出生 1,000 人あたり 3.9 例(補正後の相対リスク 0.61,95% CI 0.49~0.77)であった.重篤な有害事象は報告されなかった.
「より安全な出産のためのケアバンドル」プログラムの導入は,資源の限られた環境において,出産関連の緊急事態を標的とする質改善の取組みを統合することの実行可能性を示し,周産期死亡の有意な減少と関連した.(グローバル ファイナンシング ファシリティから研究助成を受けた.ISRCTN 登録番号 ISRCTN30541755)