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January 9, 2025 Vol. 392 No. 2

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重症三尖弁閉鎖不全症に対する経カテーテル弁置換術
Transcatheter Valve Replacement in Severe Tricuspid Regurgitation

R.T. Hahn and Others

背景

重症三尖弁閉鎖不全症は,障害をもたらす症状と,死亡リスクが高いことと関連している.経皮経カテーテル三尖弁置換術後の転帰に関するデータが必要である.

方 法

国際多施設共同試験を行い,症状を伴う重症三尖弁閉鎖不全症患者 400 例を,経カテーテル三尖弁置換術と内科的治療を行う群(弁置換術群)と,内科的治療のみを行う群(対照群)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,全死因死亡,右心補助人工心臓植込み/心臓移植,指標介入後の三尖弁に対する介入,心不全による入院,カンザスシティ心筋症質問票の全体サマリー(KCCQ-OS)スコアの 10 点以上の改善,ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類の 1 以上の改善,6 分間歩行距離の 30 m 以上の改善から成る階層的複合転帰とした.階層の最初のイベントから順に,すべての可能な組合せの患者ペアを比較することにより win 比を算出した.

結 果

267 例が弁置換術群,133 例が対照群に割り付けられた.1 年の時点で,win 比 2.02(95%信頼区間 [CI] 1.56~2.62)で弁置換術が支持された(P<0.001).患者ペアの比較では,弁置換術群の「勝ち(win)」が対照群よりも多かったのは,全死因死亡(14.8% 対 12.5%),指標介入後の三尖弁に対する介入(3.2% 対 0.6%),KCCQ-OS スコアの改善(23.1% 対 6.0%),NYHA クラスの改善(10.2% 対 0.8%),6 分間歩行距離の改善(1.1% 対 0.9%)であった.心不全による入院の年間発生率に関しては,弁置換術群の「勝ち」は対照群よりも少なかった(9.7% 対 10.0%).重度の出血は,弁置換術群 15.4%,対照群 5.3%に発生し(P=0.003),新たな恒久的ペースメーカーの植込みは,それぞれ 17.4%と 2.3%に行われた(P<0.001).

結 論

重症三尖弁閉鎖不全患者において,経カテーテル三尖弁置換術は,主要複合転帰に関して,主に症状と QOL の改善により,内科的治療単独に対する優越性を示した.(エドワーズ ライフサイエンス社から研究助成を受けた.TRISCEND II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04482062)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 115 - 26. )