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January 9, 2025 Vol. 392 No. 2

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持続性高カイロミクロン血症と膵炎リスクを管理するためのプロザシラン
Plozasiran for Managing Persistent Chylomicronemia and Pancreatitis Risk

G.F. Watts and Others

背景

持続性高カイロミクロン血症は,一般に家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)によって引き起こされる潜性遺伝性疾患であるが,多因子疾患でもある.この疾患は,再発性急性膵炎のリスクと関連している.プロザシラン(plozasiran)は,肝臓におけるアポリポ蛋白 C-III の合成を抑制し,循環血中トリグリセリド値を低下させる低分子干渉 RNA である.

方 法

第 3 相試験を行い,持続性高カイロミクロン血症(遺伝子診断の有無を問わず)の 75 例を,プロザシラン(25 mg または 50 mg)を 3 ヵ月ごとに 12 ヵ月間皮下投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,10 ヵ月の時点での空腹時トリグリセリド値のベースラインからの変化(%)の中央値とした.重要な副次的評価項目は,空腹時トリグリセリドのベースライン値から 10 ヵ月値・12 ヵ月値の平均までの変化(%),空腹時アポリポ蛋白 C-III 値のベースラインから 10 ヵ月まで,および 12 ヵ月までの変化(%),急性膵炎の発症率とした.

結 果

ベースライン時のトリグリセリド値の中央値は 2,044 mg/dL であった.10 ヵ月の時点で,空腹時トリグリセリド値のベースラインからの変化(%)の中央値(主要評価項目)は,プロザシラン 25 mg 群 -80%,プロザシラン 50 mg 群 -78%,プラセボ群 -17%であった(P<0.001).重要な副次的評価項目の結果は,急性膵炎の発症率(オッズ比 0.17,95%信頼区間 0.03~0.94,P=0.03)をはじめ,プロザシラン群のほうがプラセボ群よりも良好であった.有害事象のリスクは 3 群で同程度であり,とくに頻度の高かった有害事象は腹痛,鼻咽頭炎,頭痛,悪心であった.重度の有害事象,重篤な有害事象の頻度は,プロザシランのほうがプラセボよりも低かった.プロザシランによる高血糖は,ベースライン時に前糖尿病または糖尿病を有していた患者の一部に発現した.

結 論

持続性高カイロミクロン血症患者のうち,プロザシランを投与した患者では,プラセボを投与した患者よりもトリグリセリド値が有意に低く,膵炎の発症率が低かった.(アローヘッド ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.PALISADE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05089084)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 127 - 37. )