March 27, 2025 Vol. 392 No. 12
2 型糖尿病患者における強化血圧コントロール
Intensive Blood-Pressure Control in Patients with Type 2 Diabetes
Y. Bi and Others
2 型糖尿病患者における収縮期血圧コントロールの有効な目標値は明らかでない.
中国全土の 145 の臨床施設で,収縮期血圧が高値で,心血管疾患リスクの高い 50 歳以上の 2 型糖尿病患者を登録した.患者を,収縮期血圧の目標値を 120 mmHg 未満とする強化治療群と,目標値を 140 mmHg 未満とする標準治療群に無作為に割り付け,最長 5 年間治療を行った.主要転帰は,非致死的脳卒中,非致死的心筋梗塞,心不全に対する治療または入院,心血管系の原因による死亡の複合とした.転帰の欠測データは,ランダムな欠測の仮定のもと,多重代入法を用いて補完した.
2019 年 2 月~2021 年 12 月に,12,821 例(強化治療群 6,414 例,標準治療群 6,407 例)が登録された.5,803 例(45.3%)が女性で,平均(±SD)年齢は 63.8±7.5 歳であった.追跡 1 年の時点で,収縮期血圧の平均値は,強化治療群 121.6 mmHg(中央値 118.3 mmHg),標準治療群 133.2 mmHg(中央値 135.0 mmHg)であった.追跡期間中央値 4.2 年の時点で,主要転帰イベントは強化治療群では 393 例(1.65 件/100 人年)に発生し,標準治療群では 492 例(2.09 件/100 人年)に発生していた(ハザード比 0.79,95%信頼区間 0.69~0.90,P<0.001).重篤な有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.しかし,症候性低血圧と高カリウム血症が,強化治療群で標準治療群よりも高頻度に発現した.
2 型糖尿病患者のうち,収縮期血圧の目標値を 120 mmHg 未満とする強化治療を行った患者では,目標値を 140 mmHg 未満とする標準治療を行った患者と比較して,主要心血管イベントの発生率が有意に低かった.(中国科学技術部国家重点研究開発計画ほかから研究助成を受けた.BPROAD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03808311)