米国と欧州における資産と死亡率との関連
Association between Wealth and Mortality in the United States and Europe
S. Machado and Others
資産の格差が拡大するなか,高齢の米国人の健康が高齢の欧州人の健康と比較してどうか,資産の分布からみた情報はほとんどない.
2010~22 年に,米国の健康・退職調査(HRS)と,欧州健康・加齢・退職調査(SHARE)に登録された 50~85 歳の成人を対象に,縦断的後ろ向きコホート研究を行った.資産の四分位群は年齢別,国別に定義し,第 1 四分位群はもっとも貧困な人,第 4 四分位群はもっとも富裕な人で構成された.米国と,北欧・西欧,南欧,東欧の 16 ヵ国における資産の四分位群ごとに,死亡率と Kaplan–Meier 曲線を推定した.ベースラインの共変量(年齢群,性別,婚姻状況 [既婚・未婚],教育水準 [大学教育あり・なし],居住地域 [農村部・農村部以外],現在の喫煙状況 [喫煙・非喫煙],長期にわたる病態の診断歴の有無)を補正した Cox 比例ハザードモデルを用いて,資産の四分位群と,2010~22 年の全死因死亡率(主要転帰)との関連を定量化した.
73,838 例(平均 [±SD] 年齢 65±9.8 歳)のうち,中央値 10 年の追跡期間中に 13,802 例(18.7%)が死亡した.2 つの調査の参加者全体では,資産が多いほど死亡率は低く,死亡の補正ハザード比(第 2・3・4 四分位群 対 第 1 四分位群)は,それぞれ 0.80(95%信頼区間 [CI] 0.76~0.83),0.68(95% CI 0.65~0.71),0.60(95% CI 0.57~0.63)であった.資産の上位四分位群と下位四分位群との生存率の差は,米国のほうが欧州よりも大きかった.北欧・西欧,南欧における資産の上位四分位群の人の生存率は,もっとも富裕な米国人よりも高いと思われた.米国でもっとも富裕な四分位群の生存率は,北欧・西欧でもっとも貧困な四分位群と同程度であると思われた.
米国と欧州で行われたコホート研究では,資産が多いほど死亡率は低く,資産と死亡率との関連は,米国のほうが欧州よりも顕著であると思われた.