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April 17, 2025 Vol. 392 No. 15

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血友病 B に対するフィダナコゲン エラパルボベク ― 複数年にわたる追跡研究
Fidanacogene Elaparvovec for Hemophilia B — A Multiyear Follow-up Study

J.E.J. Rasko and Others

背景

フィダナコゲン エラパルボベク(fidanacogene elaparvovec)は,血友病 B 治療のために開発された遺伝子組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであり,第 1・2a 相試験で,高活性の第 IX 因子変異体(FIX-R338L,別名 FIX-Padua)の発現が持続することを示した.この治療の長期的な安全性と有効性は明らかにされていない.

方 法

12 ヵ月間の試験で,重症または中等症の血友病 B(凝固第 IX 因子活性が正常値の 2%以下)の 15 例に,フィダナコゲン エラパルボベク 5×1011 ベクターゲノム(vg)/kg 体重を投与した.投与後 1 年の時点で,5 年間の追跡研究への登録を可能とした.安全性評価項目は,有害事象,臨床検査値の変化などとした.有効性評価項目は,治療を要した出血イベントの年間発生率(年間出血率),第 IX 因子活性などとした.

結 果

14 例が参加に同意し,3 年以上(中央値 5.5,範囲 3~6)の追跡を完了した.データカットオフ時点で 8 例が参加を継続していた.2 年目以降に治療関連有害事象を報告した参加者はいなかった.追跡期間全体で,重篤な有害事象は 4 例に 9 件発現したが,血栓性,治療関連の有害事象はなかった.第 IX 因子インヒビターは検出されなかった.追跡期間中の第 IX 因子活性の平均は軽症血友病の範囲内で,平均年間出血率は 1 未満であり,10 例では治療を要した出血エピソードが発生しなかった.1 年目に開始した肝臓のサーベイランス超音波検査で,癌の所見を認めることはなかったが,体重増加とアミノトランスフェラーゼ上昇(アラニンアミノトランスフェラーゼ最大値 77 U/L)を示した 4 例に脂肪肝が認められた.C 型肝炎,B 型肝炎,ヒト免疫不全ウイルス感染の病歴があり,体格指数が高かった 1 例で,基礎疾患の進行肝線維症が増悪した.8 例に計 13 回の外科手技が行われ,うち 10 回で外因性第 IX 因子が投与されたが,関連する予期せぬ出血性合併症は発生しなかった.

結 論

フィダナコゲン エラパルボベクは,3~6 年の期間中,副作用を伴わず,伴っても低グレードであった.その有効性は,あらゆる適応症に用いられる AAV 静脈内投与の最低用量の 1 つである 5×1011 vg/kg で,長期間維持された.(ファイザー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号:NCT03307980)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1508 - 17. )