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April 24, 2025 Vol. 392 No. 16

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気管支拡張症に対する DPP-1 阻害薬ブレンソカチブの第 3 相試験
Phase 3 Trial of the DPP-1 Inhibitor Brensocatib in Bronchiectasis

J.D. Chalmers and Others

背景

気管支拡張症では,好中球性炎症が増悪および疾患進行のリスクが高いことと関連している.ブレンソカチブ(brensocatib)は,ジペプチジルペプチダーゼ 1(DPP-1)の可逆的経口阻害薬であり,好中球性炎症の重要なメディエータである好中球セリンプロテアーゼを標的とする.

方 法

第 3 相二重盲検試験で,気管支拡張症患者を,ブレンソカチブ 10 mg を 1 日 1 回投与する群,25 mg を 1 日 1 回投与する群,プラセボを投与する群に,(成人は 1:1:1 の割合,思春期児は 2:2:1 の割合で)無作為に割り付けた.主要評価項目は,52 週間における,臨床評価項目委員会が判定した「呼吸器症状の増悪」の年間発生率とした.副次的評価項目は,52 週間における初回増悪までの期間,52 週の時点で無増悪を維持していた患者の割合,1 秒量(FEV1)の変化量,重度の増悪の年間発生率,QOL の変化とし,この順に階層的検定を行った.

結 果

1,721 例(成人 1,680 例,思春期児 41 例)が無作為化され,ブレンソカチブまたはプラセボの投与を受けた.呼吸器症状の増悪の年間発生率は,ブレンソカチブ 10 mg 群で 1.02,25 mg 群で 1.04,プラセボ群で 1.29 であった(プラセボ群と比較した率比:10 mg 群 0.79 [95%信頼区間 {CI} 0.68~0.92,補正後の P=0.004],25 mg 群 0.81 [95% CI 0.69~0.94,補正後の P=0.005]).初回増悪までの期間のハザード比は,10 mg 群で 0.81(95% CI 0.700.95,補正後の P=0.02),25 mg 群で 0.83(95% CI 0.70~0.97,補正後の P=0.04)であった.52 週の時点で無増悪を維持していた患者の割合は,ブレンソカチブ 10 mg 群,25 mg 群ともに 48.5%であったのに対し,プラセボ群では 40.3%であった(率比:10 mg 群 1.20 [95% CI 1.06~1.37,補正後の P=0.02],25 mg 群 1.18 [95% CI 1.04~1.34,補正後の P=0.04]).52 週の時点での FEV1 は,10 mg 群では 50 mL 減少し,25 mg 群では 24 mL 減少し,プラセボ群では 62 mL 減少していた(プラセボ群との最小二乗平均差:10 mg 群 11 mL [95% CI -14~37,補正後の P=0.38],25 mg 群 38 mL [95% CI 11~65,補正後の P=0.04]).過角化の発現率はブレンソカチブ群のほうが高かったが,それ以外の有害事象の発現率は 3 群で同程度であった.

結 論

気管支拡張症患者に対してブレンソカチブ(10 mg または 25 mg)を 1 日 1 回投与した場合,プラセボを投与した場合と比較して呼吸器症状の増悪の年間発生率は低くなり,ブレンソカチブ 25 mg では,FEV1 の減少がプラセボよりも小さかった.(インスメッド社から研究助成を受けた.ASPEN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04594369,EudraCT 登録番号 2020-003688-25)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1569 - 81. )