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January 9, 2025 Vol. 392 No. 2

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末梢挿入型中心静脈カテーテルの素材の比較
A Comparison of Peripherally Inserted Central Catheter Materials

A.J. Ullman and Others

背景

末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)の新しいカテーテル素材は,感染,血栓,カテーテル閉塞によるデバイス不具合のリスクを低減させる可能性がある.しかし,これらのカテーテルを比較した無作為化試験のデータはない.

方 法

オーストラリアの三次医療病院 3 ヵ所で,無作為化比較優越性試験を行った.PICC 挿入の目的で紹介されてきた成人および小児を,疎水性 PICC,クロルヘキシジン PICC,標準的なポリウレタン PICC に 1:1:1 の割合で割り付け,8 週間追跡した.主要転帰はデバイス不具合とし,感染性(血流,局所)の合併症と非感染性(血栓症,断裂,閉塞)の合併症の複合とした.

結 果

1,098 例が無作為化され,365 例が疎水性群,365 例がクロルヘキシジン群,368 例が標準的ポリウレタン群に割り付けられた.デバイス不具合は,疎水性群では 358 例中 21 例(5.9%)に発生し,クロルヘキシジン群では 363 例中 36 例(9.9%),標準的ポリウレタン群では 359 例中 22 例(6.1%)に発生した(リスク差:疎水性 対 標準的ポリウレタンで -0.2 パーセンントポイント [95%信頼区間 {CI} -3.7~3.2,P=0.89],クロルヘキシジン 対 標準的ポリウレタンで 3.8 パーセントポイント [95% CI -0.1~7.8,P=0.06]).疎水性群の,標準的ポリウレタン群と比較したデバイス不具合のオッズ比は 0.96(95% CI 0.51~1.78)であり,クロルヘキシジン群の,標準的ポリウレタン群と比較したデバイス不具合のオッズ比は 1.71(95% CI 0.98~2.99)であった.PICC 留置期間中のあらゆる原因による合併症は,疎水性群では 77 例(21.5%)に発生し,クロルヘキシジン群では 140 例(38.6%),標準的ポリウレタン群では 78 例(21.7%)に発生した(オッズ比:疎水性 対 標準的ポリウレタンで 0.99 [95% CI 0.69~1.42],クロルヘキシジン 対 標準的ポリウレタンで 2.35 [95% CI 1.68~3.29]).介入に起因する有害事象は発現しなかった.

結 論

PICC 挿入の目的で紹介されてきた成人および小児において,非感染性合併症または感染性合併症によるデバイス不具合のリスクは,疎水性 PICC,クロルヘキシジン PICC のいずれも,標準的なポリウレタン PICC と比較して低くなかった.(オーストラリア・国立保健医療研究評議会から研究助成を受けた.PICNIC 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12619000022167)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 161 - 72. )