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May 15, 2025 Vol. 392 No. 19

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アフリカの HIV とともに生きる小児に対する二次治療としての抗レトロウイルス療法
Second-Line Antiretroviral Therapy for Children Living with HIV in Africa

V. Musiime and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とともに生きる小児は,二次治療における抗レトロウイルス療法(ART)の選択肢が限られている.

方 法

2×4 要因デザインによる非盲検試験で,一次治療が無効であった HIV 感染児を,テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(TAF)+エムトリシタビンまたは標準治療(アバカビル+ラミブジンまたはジドブジン+ラミブジン)をバックボーンとし,ドルテグラビル,リトナビルでブーストしたダルナビル,リトナビルでブーストしたアタザナビル,リトナビルでブーストしたロピナビルのいずれかをアンカー薬とする二次治療に無作為に割り付けた.主要転帰は,96 週の時点でのウイルス量が 400 コピー/mL 未満であることとした.TAF+エムトリシタビンは標準治療に対して非劣性を示し,ドルテグラビルおよびリトナビルでブーストしたダルナビルは,リトナビルでブーストしたロピナビルとリトナビルでブーストしたアタザナビルを統合した解析で優越性を示し,リトナビルでブーストしたアタザナビルは,リトナビルでブーストしたロピナビルに対して非劣性を示すという仮説を立てた.安全性も評価した.

結 果

919 例が無作為化され,458 例が TAF+エムトリシタビン群,461 例が標準治療群に割り付けられた.アンカー薬の割付けの内訳は,ドルテグラビル 229 例,リトナビルでブーストしたダルナビル 232 例,リトナビルでブーストしたアタザナビル 231 例,リトナビルでブーストしたロピナビル 227 例であった.参加者の年齢の中央値は 10 歳で,497 例(54.1%)が男性であった.ベースラインのウイルス量の中央値は 17,573 コピー/mL であった.96 週の時点で,TAF+エムトリシタビンは標準治療に対して優越性を示し,ウイルス量が 400 コピー/mL 未満であった参加者の割合の差は,補正後で 6.3 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 2.0~10.6,P=0.004)であった.ドルテグラビルは,リトナビルでブーストしたロピナビルとリトナビルでブーストしたアタザナビルを統合した解析で優越性を示したが(補正後の差 9.7 パーセントポイント,95% CI 4.8~14.5,P<0.001),リトナビルでブーストしたダルナビルは優越性を示さなかった(補正後の差 5.6 パーセントポイント,95% CI 0.3~11.0,P=0.04 [事前に規定した閾値は P=0.03]).リトナビルでブーストしたアタザナビルは,リトナビルでブーストしたロピナビルに対して非劣性を示した.全体で 1 例が死亡し,29 例(3.2%)に重篤な有害事象が発現したが,群間に有意差は認められなかった.

結 論

TAF+エムトリシタビンにドルテグラビルを併用する二次治療の ART レジメンは小児に有効であり,安全性の懸念を示す所見は認められなかった.リトナビルでブーストしたダルナビルも有効であった.(欧州・発展途上国臨床試験パートナーシップほかから研究助成を受けた.CHAPAS-4 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN22964075)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1917 - 32. )