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May 15, 2025 Vol. 392 No. 19

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ナルコレプシータイプ 1 に対する経口オレキシン 2 型受容体選択的作動薬オベポレクストン
Oveporexton, an Oral Orexin Receptor 2–Selective Agonist, in Narcolepsy Type 1

Y. Dauvilliers and Others

背景

ナルコレプシータイプ 1 は,オレキシン神経の脱落に起因する,過剰な眠気をきたす障害である.オレキシン神経の脱落により,脳内のオレキシン濃度は低くなる.

方 法

第 2 相無作為化プラセボ対照試験で,ナルコレプシータイプ 1 の参加者に,経口オレキシン 2 型受容体選択的作動薬オベポレクストン(oveporexton;TAK-861)を 1 日 1 回または 2 回,もしくはプラセボを投与した.主要評価項目は,覚醒維持検査(MWT)で評価した平均睡眠潜時(入眠までの時間;範囲は 0~40 分で,20 分以上で正常)におけるベースラインから 8 週までの平均変化量とした.副次的評価項目は,エプワース眠気尺度(ESS)の総スコア(範囲は 0~24 で,10 以下で正常)におけるベースラインから 8 週までの変化量,8 週の時点での 1 週間あたりの情動脱力発作の発生率,有害事象の発現などとした.

結 果

90 例がオベポレクストンの投与を受け(0.5 mg 1 日 2 回:23 例,2 mg 1 日 2 回:21 例,1 回目 2 mg・2 回目 5 mg の 1 日 2 回:23 例,7 mg 1 日 1 回:23 例),22 例がプラセボの投与を受けた.MWT で評価した平均睡眠潜時におけるベースラインから 8 週までの平均変化量は,それぞれ 12.5 分,23.5 分,25.4 分,15.0 分,-1.2 分であった(プラセボと比較した補正 P 値はすべて 0.001 以下).8 週の時点での ESS 総スコアの平均変化量は,それぞれ -8.9,-13.8,-12.8,-11.3,-2.5 であった(プラセボと比較した補正 P 値はすべて 0.004 以下).8 週の時点での 1 週間あたりの情動脱力発作の発生率は,それぞれ 4.24,3.14,2.48,5.89,8.76 であった(2 mg 1 日 2 回と,1 回目 2 mg・2 回目 5 mg の 1 日 2 回は,プラセボと比較した補正 P 値が 0.05 未満).オベポレクストンに関連する有害事象としてとくに頻度が高かったのは,不眠(参加者の 48%;大部分は 1 週間以内に消失),尿意切迫(33%),頻尿(32%)であり,肝毒性は認められなかった.

結 論

ナルコレプシータイプ 1 患者を対象とした第 2 相試験で,オベポレクストンは,覚醒,眠気,情動脱力発作の指標を 8 週の期間中有意に改善した.(米州武田開発センターから研究助成を受けた.TAK-861-2001 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05687903)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1905 - 16. )