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June 19, 2025 Vol. 392 No. 23

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ミスマッチ修復機構欠損腫瘍の保存的管理
Nonoperative Management of Mismatch Repair–Deficient Tumors

A. Cercek and Others

背景

ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する局所進行直腸癌患者の多くは,術前の免疫チェックポイント阻害薬投与により,手術の必要がなくなった.このアプローチを,早期の dMMR 固形腫瘍すべてに,腫瘍の部位にかかわらず用いることができるかは明らかでない.

方 法

第 2 相試験を行い,治癒的切除可能な I 期,II 期,III 期の dMMR 固形腫瘍患者に,プログラム細胞死 1(PD-1)阻害薬ドスタルリマブ(dostarlimab)による術前補助療法を 6 ヵ月間行った.治療効果は,dMMR 局所進行直腸癌患者から成るコホート 1 と,直腸以外の dMMR 固形腫瘍患者から成るコホート 2 の,2 つのコホートで評価した.臨床的完全奏効が得られた患者は保存的管理の継続を選択でき,残存病変が認められた患者には切除を行った.今回の解析では,12 ヵ月の時点での臨床的完全奏効の持続を主要評価項目とし,コホート 1 で評価した.無再発生存と安全性を評価した.

結 果

解析対象は 117 例であった.コホート 1 では,治療を完了した 49 例全例で臨床的完全奏効が得られ,保存的管理の継続が選択された.12 ヵ月の時点で臨床的完全奏効が持続していたのは 37 例であり,有効性の基準を満たした.コホート 2 では,治療を完了した 54 例中 35 例で臨床的完全奏効が得られ,33 例で保存的管理の継続が選択された.両コホートを合わせて,治療を完了した 103 例のうち,84 例で臨床的完全奏効が得られ,82 例は手術を受けなかった.117 例全例における 2 年無再発生存率は 92%(95%信頼区間 86~99)であり,再発の追跡期間中央値は 20.0 ヵ月(範囲 0~60.8)であった.有害事象は,患者の大部分(95%)が,グレード 1 または 2 の可逆的なものであったか(60%),発現しなかった(35%).いずれの患者も,治療中または治療後に治癒的切除の選択肢を失うことはなかった.

結 論

治癒的切除可能な早期 dMMR 固形腫瘍患者において,術前の PD-1 阻害薬投与により,高い割合で臓器を温存しえた.(スイム アクロス アメリカほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04165772)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 2297 - 308. )