遺伝性・散発性乳頭状腎癌に対するベバシズマブとエルロチニブ
Bevacizumab and Erlotinib in Hereditary and Sporadic Papillary Kidney Cancer
R. Srinivasan and Others
遺伝性平滑筋腫症腎細胞癌(HLRCC)は,フマル酸ヒドラターゼをコードする遺伝子の生殖細胞系列に病原性変異が存在し,乳頭状腎細胞癌のリスクが高いことを特徴とする遺伝性疾患である.進行 HLRCC 関連乳頭状腎細胞癌に対する有効な治療法はわかっておらず,患者の大部分は疾患の進行により死亡する.
非盲検第 2 相試験で,進行した HLRCC 関連乳頭状腎細胞癌または散発性乳頭状腎細胞癌の患者に対する,ベバシズマブ(10 mg/kg 体重を 2 週ごと)とエルロチニブ(150 mg を 1 日 1 回)併用の有効性を評価した.主要評価項目は全奏効とし,副次的評価項目は,無増悪生存,全生存などとした.
HLRCC 関連乳頭状腎細胞癌患者 43 例と,散発性乳頭状腎細胞癌患者 40 例を登録した.HLRCC 関連乳頭状腎細胞癌患者では,奏効は 31 例(72%,95%信頼区間 [CI] 57~83)で確認され,無増悪生存の中央値は 21.1 ヵ月(95% CI 15.6~26.6),全生存の中央値は 44.6 ヵ月(95% CI 32.7~推定不能)であった.散発性乳頭状腎細胞癌患者では,奏効は 14 例(35%,95% CI 22~51)で確認され,無増悪生存の中央値は 8.9 ヵ月(95% CI 5.5~18.3),全生存の中央値は 18.2 ヵ月(95% CI 12.6~29.3)であった.頻度の高かった治療関連有害事象は,ざ瘡様皮疹(93%),下痢(89%),蛋白尿(78%)であった.頻度の高かったグレード 3 以上の治療関連有害事象は,高血圧(34%),蛋白尿(17%)であった.
ベバシズマブとエルロチニブの併用は,HLRCC 関連乳頭状腎細胞癌または散発性乳頭状腎細胞癌の患者において抗腫瘍活性を示した.毒性はこの併用レジメンに伴うことが判明しているものであった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01130519)