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June 26, 2025 Vol. 392 No. 24

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BRAF 変異陽性大腸癌に対するエンコラフェニブ,セツキシマブ,mFOLFOX6
Encorafenib, Cetuximab, and mFOLFOX6 in BRAF-Mutated Colorectal Cancer

E. Elez and Others

背景

BRAF V600E 変異陽性の転移性大腸癌は,予後不良の,悪性度の高いサブタイプである.その一次治療として,化学療法(オキサリプラチン+ロイコボリン+フルオロウラシル [mFOLFOX6])併用または非併用下でのエンコラフェニブ+セツキシマブ(EC)を,標準治療(ベバシズマブ併用または非併用下での化学療法)と比較する非盲検第 3 相試験で,2 つの主要評価項目のうちの 1 つである,盲検下独立中央判定による客観的奏効に関して有意性が示された(標準治療に対する EC+mFOLFOX6 のオッズ比 2.44,片側 P<0.001).この結果により,米国食品医薬品局は,BRAF V600E 変異陽性の転移性大腸癌に対するこの併用療法(一次治療としての使用を含む)を迅速承認した.今回,無増悪生存期間(2 つ目の主要評価項目)に関するデータと,全生存期間に関する最新の中間解析の結果が得られた.

方 法

未治療の BRAF V600E 変異陽性の転移性大腸癌患者を,EC 群,EC+mFOLFOX6 群,標準治療群のいずれかに無作為に割り付けた.主要評価項目は,EC+mFOLFOX6 群と標準治療群における,盲検下独立中央判定による客観的奏効(報告済み)と,無増悪生存期間の 2 つであった.全生存期間を重要な副次的評価項目とした.

結 果

無増悪生存期間は,EC+mFOLFOX6 群のほうが標準治療群よりも有意に長かった(中央値 12.8 ヵ月 対 7.1 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.53,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.68,P<0.001).中間解析において,全生存期間は,EC+mFOLFOX6 群のほうが標準治療群よりも有意に長かった(中央値 30.3 ヵ月 対 15.1 ヵ月,死亡のハザード比 0.49,95% CI 0.38~0.63,P<0.001).投与中の重篤な有害事象の発現率は,EC+mFOLFOX6 群 46.1%,標準治療群 38.9%であった.安全性プロファイルは,各薬剤の既知のプロファイルと一致していた.

結 論

この試験では,BRAF V600E 変異陽性の転移性大腸癌患者に EC+mFOLFOX6 による一次治療を行った場合,標準治療を行った場合と比較して,無増悪生存期間と全生存期間が有意に延長することが示された.(ファイザー社ほかから研究助成を受けた.BREAKWATER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04607421)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 2425 - 37. )