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February 6, 2025 Vol. 392 No. 6

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IgA 腎症に対するイプタコパンによる補体第二経路の阻害
Alternative Complement Pathway Inhibition with Iptacopan in IgA Nephropathy

V. Perkovic and Others

背景

補体第二経路は,IgA 腎症の発症機序に重要な役割を果たしている.イプタコパンは,B 因子に特異的に結合し,第二経路を阻害する.

方 法

第 3 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,IgA 腎症の診断が生検で確定し,最適化した支持療法にもかかわらず蛋白尿(24 時間尿蛋白/クレアチニン比 [g/gCr] 1 以上と定義)が持続する成人を登録した.患者を,支持療法を継続しながら,イプタコパン(200 mg)を 1 日 2 回,24 ヵ月間経口投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.事前に規定したこの中間解析の主要目的は,9 ヵ月の時点で,イプタコパンの蛋白尿の減少に関する有効性をプラセボと比較評価することであり,主要評価項目は,9 ヵ月の時点での 24 時間尿蛋白/クレアチニン比のベースラインからの変化量とした.9 ヵ月の時点で,レスキュー薬/代替薬の投与,または腎代替療法(透析,移植)を受けることなく,24 時間尿蛋白/クレアチニン比が 1 未満であった患者の割合を副次的評価項目とした.安全性も評価した.腎機能に対するイプタコパンの効果は,2 年間の二重盲検投与期間終了時に評価する予定である.

結 果

主要試験集団は,イプタコパン群 222 例,プラセボ群 221 例であった.有効性の中間解析では,無作為化され,9 ヵ月の時点まで試験を継続していたか,9 ヵ月の時点までに試験を中止した主要試験集団の最初の 250 例(各群 125 例)を対象とした.安全性は,主要試験集団全例で評価した.9 ヵ月の時点で,24 時間尿蛋白/クレアチニン比の補正後の幾何平均値は,イプタコパン群のほうがプラセボ群よりも 38.3%(95%信頼区間 26.0~48.6,両側 P<0.001)低かった.副次的評価項目の解析結果も一致していたことから,蛋白尿の減少が裏付けられた.イプタコパン群に予期しない安全性所見は認められなかった.投与期間中の有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.有害事象の大部分は軽度~中等度であり,可逆的であった.感染リスクの上昇は認められなかった.

結 論

IgA 腎症患者のうち,イプタコパンを投与した患者では,プラセボを投与した患者と比較して有意かつ臨床的に意味のある蛋白尿の減少が得られた.(ノバルティス社から研究助成を受けた.APPLAUSE-IgAN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04578834)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 531 - 43. )