February 6, 2025 Vol. 392 No. 6
IgA 腎症患者に対するアトラセンタン
Atrasentan in Patients with IgA Nephropathy
H.J.L. Heerspink and Others
重度の蛋白尿を伴う IgA 腎症患者は,腎不全の生涯リスクが高い.IgA 腎症患者における,選択的エンドセリン A 受容体拮抗薬アトラセンタン(atrasentan)の蛋白尿の減少に関する有効性,および安全性は,十分に解明されていない.
IgA 腎症の診断が生検で確定し,尿中総蛋白排泄量 1 g/日以上で,推算糸球体濾過量(eGFR)30 mL/分/1.73 m2 体表面積以上の成人を対象に,第 3 相国際共同二重盲検無作為化比較試験を現在行っている.患者を,アトラセンタン(0.75 mg/日)を 132 週間投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,24 時間尿蛋白/クレアチニン比のベースラインから 36 週までの変化量とし,事前に規定した中間解析では,主要な層の最初の 270 例のデータを評価した.変化量の推定には反復測定モデルを用いた.(ナトリウム–グルコース共輸送体 2 [SGLT2] 阻害薬の投与を受けていた患者から成る探索的な層は,別の解析で検証した.) 安全性解析は,主要な層全例における有害事象に基づいて行った.
主要な層には 340 例が組み入れられた.その最初の 270 例(各群 135 例)のうち,36 週時の受診を完了した患者の,ベースライン時と比較した尿蛋白/クレアチニン比の変化量(%)の幾何平均値は,アトラセンタン群(-38.1%)のほうがプラセボ群(-3.1%)よりも有意に大きく,群間差の幾何平均値は -36.1 パーセントポイント(95%信頼区間 -44.6~-26.4,P<0.001)であった.有害事象が発現した患者の割合に 2 群間で大きな差はなかった.体液貯留が,アトラセンタン群の 169 例中 19 例(11.2%)とプラセボ群の 170 例中 14 例(8.2%)で報告されたが,試験レジメンの中止にはいたらなかった.心不全または重度浮腫の明らかな症例は認められなかった.
事前に規定したこの中間解析では,IgA 腎症患者に対するアトラセンタンは,プラセボと比較して有意かつ臨床的に意味のある蛋白尿の減少をもたらした.(ノバルティス社から研究助成を受けた.ALIGN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04573478)