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February 13, 2025 Vol. 392 No. 7

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2024 年のアフリカにおけるエムポックスの疫学の進展
Evolving Epidemiology of Mpox in Africa in 2024

N. Ndembi and Others

背景

エムポックスは,1970 年にコンゴ民主共和国(DRC)でヒト感染例が確認されてから数十年にわたり,主に中央アフリカ・西アフリカの農村地域にその発生が限られていたため,広く注目を集めることはなかった.2024 年 8 月 13 日,エムポックスに関して,アフリカ疾病管理予防センター(アフリカ CDC)は「アフリカ大陸の安全保障に関する公衆衛生上の緊急事態(PHECS)」を宣言し,その翌日,世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した.

方 法

この研究では,時間的変動,地理的分布,疫学的傾向を特定する目的で,2022 年 1 月 1 日~2024 年 10 月 30 日にアフリカ CDC に報告された,臨床診断または検査による診断に基づく,エムポックスの全症例および全死亡例を分析した.

結 果

2022 年 1 月 1 日~2024 年 8 月 18 日に,アフリカの 12 ヵ国で,計 45,652 例のエムポックス症例が臨床的に診断されたか,検査で確認された.このうち 1,492 例が死亡した(致死率 3.3%).2022 年から 2024 年にかけて,検査で確認されたエムポックスの 1 週間あたりの症例数は 2.8 倍に増加し(176 例から 489 例),1 週間あたりの全報告症例数(臨床的に診断された症例を含む)は 4.3 倍に増加した(669 例から 2,900 例).2024 年のアフリカにおけるエムポックス症例の約 88%が報告された DRC では,緊急宣言前に報告された症例数は 19,513 例であり,致死率は 3.1%で,症例数の週平均は 591 例(2023 年は 281 例)であった.2024 年,アフリカの 6 ヵ国でエムポックスの輸入感染がはじめて報告され,ブルンジでは地域内伝播も報告された.

結 論

アフリカ,とくに DRC におけるエムポックスの高い疾病負荷(増加する症例数,高い致死率,これまでにエムポックスの発生が報告されていないアフリカのほかの国々への急速な拡大)に対して,国際的な懸念が高まっている.このウイルスの世界的な拡大リスクを低減させる介入を DRC で行うためには,症例の発見,接触者の追跡,公衆衛生上の対策,支払い可能な価格のワクチンが必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 666 - 76. )