February 20, 2025 Vol. 392 No. 8
心室頻拍に対するカテーテルアブレーションと抗不整脈薬との比較
Catheter Ablation or Antiarrhythmic Drugs for Ventricular Tachycardia
J.L. Sapp and Others
心室頻拍と虚血性心筋症を有する患者は,有害転帰のリスクが高い.抗不整脈薬で心室頻拍を抑制できない場合には,カテーテルアブレーションを用いることが多い.心室頻拍患者に対する一次治療として,カテーテルアブレーションが抗不整脈薬よりも有効であるかは明らかでない.
国際共同試験を行い,心筋梗塞の既往があり,臨床的に重要な心室頻拍(心室頻拍ストーム,適切な植込み型除細動器 [ICD] ショックまたは抗頻拍ペーシングの施行,救急治療により停止した持続性心室頻拍と定義)を有する患者を,抗不整脈薬療法を行う群と,カテーテルアブレーションを行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.全例に ICD が植え込まれていた.カテーテルアブレーションは無作為化後 14 日以内に行い,抗不整脈薬療法では,事前に規定した基準に基づきソタロールまたはアミオダロンを投与した.主要評価項目は,追跡期間中の全死因死亡と,無作為化後 15 日以降の心室頻拍ストーム,適切な ICD ショック,医学的介入で治療された持続性心室頻拍の複合とした.
416 例が中央値で 4.3 年間追跡された.主要評価項目イベントは,カテーテルアブレーションに割り付けられた 203 例中 103 例(50.7%)と,薬物療法に割り付けられた 213 例中 129 例(60.6%)に発生した(ハザード比 0.75,95%信頼区間 0.58~0.97,P=0.03).カテーテルアブレーション群で手技後 30 日以内に発現した有害事象は,死亡(2 例 [1.0%]),非致死的有害事象(23 例 [11.3%])であった.薬物療法に割り付けられた患者に発現した抗不整脈薬療法に起因する有害事象は,肺毒性による死亡(1 例 [0.5%]),非致死的有害事象(46 例 [21.6%])であった.
虚血性心筋症と心室頻拍を有する患者において,一次治療としてカテーテルアブレーションを行う戦略により,抗不整脈薬療法と比較して複合主要評価項目イベントのリスクが低下した.(カナダ保健研究機構ほかから研究助成を受けた.VANISH2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02830360)