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February 27, 2025 Vol. 392 No. 9

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高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)ウイルスのヒト感染
Highly Pathogenic Avian Influenza A(H5N1) Virus Infections in Humans

S. Garg and Others

背景

高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)ウイルスの感染が米国の乳牛と家禽において拡大しているが,ヒト感染例は散発的である.米国で,2024 年 3 月~10 月に同定された A(H5N1)ウイルスのヒト感染例の特徴を報告する.

方 法

標準化された症例報告書を用いて,A(H5N1)ウイルス感染が検査で確認された患者のデータを解析した.症例報告書は,米国疾病管理予防センター(CDC)のインフルエンザ A/H5 亜型判定キットによる検査結果と紐付けされた.

結 果

患者 46 例のうち,20 例は感染した家禽に曝露しており,25 例は感染した,または感染が疑われる乳牛に曝露していた.曝露源が同定されなかった 1 例は,呼吸器以外の症状で入院し,A(H5N1)ウイルス感染はルーチンのサーベイランスで検出された.感染動物に曝露した 45 例は,年齢中央値 34 歳で,A(H5N1)ウイルス感染による症状は全例軽度であり,入院例も死亡例もなかった.症状は,結膜炎が 42 例(93%),発熱が 22 例(49%),呼吸器症状が 16 例(36%)に認められたが,15 例(33%)は結膜炎のみであった.データを入手しえた 16 例における罹病期間の中央値は 4 日(範囲 1~8)であった.患者の大部分(87%)がオセルタミビルの投与を受け,投与は症状発現後中央値 2 日に開始された.感染動物に曝露した患者の家庭内接触者 97 人にさらなる症例は同定されなかった.感染動物に曝露した労働者が使用していた個人用防護具(PPE)の種類は,手袋(71%),保護眼鏡(60%),フェイスマスク(47%)の順で多かった.

結 論

これまでに同定された症例では,A(H5N1)ウイルスによる症状は軽度で,主に結膜炎であり,罹病期間は短く,症例の大部分は感染動物に曝露した米国の成人であった.患者の大部分は速やかに抗ウイルス薬治療を受けた.ウイルスのヒト–ヒト伝播を示す証拠は認められなかった.職業的曝露者における PPE の使用は最適ではなかったことから,曝露のリスクを低減させるためには,追加の戦略が必要であることを示唆している.(米国疾病管理予防センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 843 - 54. )