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February 27, 2025 Vol. 392 No. 9

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小児における標準リスクの B 細胞急性リンパ芽球性白血病に対するブリナツモマブ
Blinatumomab in Standard-Risk B-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia in Children

S. Gupta and Others

背景

B 細胞急性リンパ芽球性白血病(B 細胞 ALL)は,もっとも頻度の高い小児癌である.全体的な治癒率は高いものの,再発 B 細胞 ALL は小児癌関連死の主な原因となっている.二重特異性 T 細胞誘導分子ブリナツモマブ(抗 CD19・抗 CD3 一本鎖分子)を,新たに診断された標準リスク(米国国立がん研究所の定義による)の小児 B 細胞 ALL の治療に追加することで,転帰が改善する可能性がある.

方 法

標準リスクの B 細胞 ALL と新たに診断され,再発リスクが平均的または高い小児を対象に,第 3 相試験を行った.患児を,化学療法のみを行う群と,化学療法に加えて 28 日間のブリナツモマブ投与を非連続的に 2 サイクル行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目は無病生存とした.

結 果

データ安全性モニタリング委員会が,無作為化された 1,440 例(化学療法単独群 722 例,ブリナツモマブ+化学療法群 718 例)における有効性に関する 1 回目の中間解析の結果を審査し,無作為化の早期中止を勧告した.追跡期間中央値 2.5 年の時点で,推定 3 年無病生存率(±SE)は,ブリナツモマブ+化学療法群では 96.0±1.2%であり,化学療法単独群では 87.9±2.1%であった(制限付き平均生存時間の差 72 日,95%信頼区間 36~108,層別化 log-rank 検定で P<0.001).再発リスクが平均的であった患児の推定 3 年無病生存率は,ブリナツモマブ+化学療法群 97.5±1.3%,化学療法単独群 90.2±2.3%であり,再発リスクが高かった患児ではそれぞれ 94.1±2.5%,84.8±3.8%であった.ブリナツモマブ投与中のグレード 3 以上のサイトカイン放出症候群,痙攣,敗血症はまれであったが,非致死的な敗血症,カテーテル関連感染症の全体的な発現率は,再発リスクが平均的でブリナツモマブ+化学療法群に割り付けられた患児のほうが,再発リスクが平均的で化学療法単独群に割り付けられた患児よりも有意に高かった.

結 論

標準リスクの小児 B 細胞 ALL と新たに診断され,再発リスクが平均的または高い患者において,ブリナツモマブを併用化学療法に追加することで,無病生存率が有意に改善した.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.AALL1731 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03914625)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 875 - 91. )