慢性特発性蕁麻疹に対するレミブルチニブ
Remibrutinib in Chronic Spontaneous Urticaria
M. Metz and Others
慢性特発性蕁麻疹は,繰り返す痒み,蕁麻疹,血管性浮腫のいずれか(またはこれらの組合せ)が 6 週間を超えるものと定義される特発性の症候群である.選択性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であるレミブルチニブ(remibrutinib)は,第 2b 相試験で有効性と好ましい安全性を示した.第 3 相試験のデータが必要である.
同一の多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験である REMIX-1 試験と REMIX-2 試験で,第 2 世代 H1 抗ヒスタミン薬による治療後も症状が持続する慢性特発性蕁麻疹患者を対象に,レミブルチニブの有効性と安全性を評価した.患者を,レミブルチニブ 25 mg を 1 日 2 回経口投与する群と,プラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,7 日間の蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインから 12 週目までの変化とした.UAS7 は,1 週間の痒みと蕁麻疹の重症度スコア(0~42 で,値が高いほど重症度が高いことを示す)である.有害事象,2 週目および 12 週目の UAS7 が 6 以下,12 週目の UAS7 が 0,などを重要な副次的評価項目とした.
REMIX-1 の 470 例と REMIX-2 の 455 例が,レミブルチニブの投与を受ける群(それぞれ 313 例と 300 例)と,プラセボの投与を受ける群(それぞれ 157 例と 155 例)に無作為に割り付けられた.レミブルチニブ群は,12 週目の UAS7 の低下がプラセボ群よりも有意に大きく(変化の最小二乗平均 [±SE]:REMIX-1 では -20.0±0.7 対 -13.8±1.0 [P<0.001],REMIX-2 では -19.4±0.7 対 -11.7±0.9 [P<0.001]),24 週目まで維持されたと思われた.12 週目に,UAS7 が 6 以下であった患者はレミブルチニブ群のほうがプラセボ群よりも有意に多く(REMIX-1 では 49.8% 対 24.8% [P<0.001],REMIX-2 では 46.8% 対 19.6% [P<0.001]),UAS7 が 0 であった患者も同様であった(REMIX-1 では 31.1% 対 10.5% [P<0.001],REMIX-2 では 27.9%対 6.5% [P<0.001]).有害事象,および重篤な有害事象の発現割合は,レミブルチニブ群とプラセボ群とで同程度であったが,点状出血の発現割合は,レミブルチニブ群のほうがプラセボ群よりも高かった(2 試験を合わせた群として 3.8% 対 0.3%).
レミブルチニブの経口投与により,12 週目の痒みと蕁麻疹の複合評価尺度が有意に改善した.(ノバルティス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.REMIX-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05030311,REMIX-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05032157)