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July 10, 2025 Vol. 393 No. 2

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PIK3CA 変異陽性進行乳癌にイナボリシブを投与した場合の全生存
Overall Survival with Inavolisib in PIK3CA-Mutated Advanced Breast Cancer

K.L. Jhaveri and Others

背景

第 3 相二重盲検無作為化試験 INAVO120 では,PIK3CA 変異陽性,ホルモン受容体陽性,ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陰性の局所進行または転移性乳癌を有し,術後補助内分泌療法中または術後補助内分泌療法後 12 ヵ月以内に再発した患者に,イナボリシブ(inavolisib)とパルボシクリブ+フルベストラントを併用した場合,プラセボとパルボシクリブ+フルベストラントを併用した場合と比較して,無増悪生存に有意な利益が認められた.

方 法

PIK3CA 変異陽性,ホルモン受容体陽性,HER2 陰性の局所進行または転移性乳癌を有し,術後補助内分泌療法中または術後補助内分泌療法後 12 ヵ月以内に再発または進行した患者を,イナボリシブとパルボシクリブ+フルベストラントを併用する群(イナボリシブ群)と,プラセボとパルボシクリブ+フルベストラントを併用する群(プラセボ群)に無作為に割り付けた.今回は全生存の最終解析結果を,有効性と安全性に関する最新データとともに報告する.

結 果

161 例がイナボリシブ群,164 例がプラセボ群に割り付けられた.追跡期間の中央値がイナボリシブ群 34.2 ヵ月,プラセボ群 32.3 ヵ月の時点で,全生存期間の中央値は,イナボリシブ群 34.0 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 28.4~44.8),プラセボ群 27.0 ヵ月(95% CI 22.8~38.7)であった(死亡のハザード比 0.67,95% CI 0.48~0.94,P=0.02 [事前に規定した統計学的有意性の境界値は P<0.0469]).客観的奏効割合は,イナボリシブ群 62.7%(95% CI 54.8~70.2),プラセボ群 28.0%(95% CI 21.3~35.6)であった(P<0.001).病勢進行または死亡のハザード比の最新値は 0.42(95% CI 0.32~0.55)であった.有害事象により投与を中止した患者の割合は,イナボリシブ群 6.8%,プラセボ群 0.6%であった.高血糖,口内炎/粘膜炎,消化管毒性(下痢など),眼毒性(ドライアイ,霧視など)の発現率は,イナボリシブ群のほうがプラセボ群よりも高かった.

結 論

イナボリシブとパルボシクリブ+フルベストラントの併用には,プラセボとパルボシクリブ+フルベストラントの併用と比較して,全生存に対する有意な利益が認められた.イナボリシブ群では,高血糖,口内炎/粘膜炎,消化管毒性,眼毒性の頻度がプラセボ群よりも高かった.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社から研究助成を受けた.INAVO120 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04191499)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 151 - 61. )