September 11, 2025 Vol. 393 No. 10
高齢心筋梗塞患者における多因子リハビリテーション
Multidomain Rehabilitation for Older Patients with Myocardial Infarction
E. Tonet and Others
心筋梗塞を発症し,身体機能が低下している 65 歳以上の患者に対する,多因子リハビリテーション介入の利益は明らかにされていない.
イタリアで行った多施設共同無作為化試験で,心筋梗塞後 1 ヵ月の時点で身体機能が低下している高齢者を,心血管危険因子の管理,食事カウンセリング,運動トレーニングから成る介入を行う群(介入群)と,通常のケアを行う群(対照群)に 2:1 の割合で割り付けた.主要転帰は,1 年以内の心血管死または心血管系の原因による予定外の入院の複合とした.
512 例が無作為化された(介入群 342 例,対照群 170 例).年齢中央値は 80 歳で,36%が女性であった.主要転帰イベントは,介入群では 43 例(12.6%),対照群では 35 例(20.6%)に発生した(ハザード比 0.57,95%信頼区間 [CI] 0.36~0.89,P=0.01).心血管死は,介入群では 14 例(4.1%),対照群では 10 例(5.9%)に発生した(ハザード比 0.69,95% CI 0.31~1.55).心血管系の原因による予定外の入院は,介入群では 31 例(9.1%),対照群では 30 例(17.6%)に発生した(ハザード比 0.48,95% CI 0.29~0.79).介入に伴う重篤な有害事象はなかった.
心筋梗塞後 1 ヵ月の時点で身体機能が低下している高齢者に対し,多因子リハビリテーション介入を行った場合,通常のケアを行った場合よりも,1 年以内の心血管死または心血管による予定外の入院の発生率が低かった.(イタリア保健省から研究助成を受けた.PIpELINe 試験:Clinical Trials.gov 登録番号 NCT04183465)