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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 15, 2001
Vol. 345 No. 20

  • 末期心不全における左心補助装置
    Ventricular Assist Device for End-Stage Heart Failure

    末期心不全における左心補助装置

    左心補助装置は,心臓移植までのつなぎ治療として利用されてきたが,長期間の治療手段としては用いられてこなかった.心臓移植の候補にならない重症心不全の患者を対象とするこの臨床試験では,左心補助装置と最適な内科療法を比較した.1 年生存率は,装置群が 52%,内科療法群が 25%であった.補助装置により,患者は歩行可能になり,生活の質が改善した.
    左心補助装置の長期使用には,感染症,出血,装置の作動不良を含む,困難な問題が存在する.それにもかかわらず今回の研究は,長期使用の実施可能性を示すものであり,人工心臓技術のさらなる進歩における重要な一歩である.

  • 再発性脳虚血性発作の予防にはワーファリンかアスピリンか?
    Warfarin or Aspirin to Prevent Recurrent Ischemic Stroke?

    再発性脳虚血性発作の予防にはワーファリンかアスピリンか?

    脳虚血性発作の既往患者には,再発のリスクがある.ワーファリンは,心塞栓性脳卒中の再発予防に対する第一選択薬である.この臨床試験では,心原性の塞栓以外の原因による脳虚血性発作の再発予防に関して,ワーファリンとアスピリンを比較した.脳虚血性発作の再発率や出血性合併症の発生率に関して,ワーファリン群とアスピリン群に有意差はなかった.
    ワーファリンとアスピリンの有効性と安全性は同等なので,双方とも適切な治療選択として考えるべきである.

  • インターフェロン α - 2b による急性 C 型肝炎の治療
    Treatment of Acute Hepatitis C with Interferon-alfa 2b

    インターフェロン α - 2b による急性 C 型肝炎の治療

    C 型肝炎ウイルス(HCV)の感染者に,慢性感染症が生ずることが多い.慢性感染症ではウイルス駆除が困難であり,最終的には末期肝疾患にいたる可能性がある.この研究では,急性 C 型肝炎の患者 44 例が,慢性感染症の予防目的で,インターフェロン α - 2b による 24 週間の治療を受けた.治療終了時とその 24 週間後において,患者の 43 例で血清 HCV RNA 量が検出限界以下になった.
    インターフェロン α - 2b による急性 C 型肝炎の治療は,慢性感染症を予防する可能性がある.HCV 感染者の多くでは,感染が慢性化するまで疾患が顕在化しない.一方,針刺し事故や医療行為を通じた一部の感染者は,すぐに医療者の注意を引くので,すみやかな治療が有益となる場合がある.

  • 骨髄移植による T 細胞リンパ腫の伝播
    Transmission of T-Cell Lymphoma by Bone Marrow Transplantation

    骨髄移植による T 細胞リンパ腫の伝播

    進行リンパ腫の 19 歳女性が,姉妹からの骨髄移植を受けた.3 年半後に,皮下脂肪組織炎を伴う T 細胞リンパ腫がドナーで診断された.移植から 4 年半後に,同種のまれな腫瘍がレシピエントにも発生した.姉妹の腫瘍は,分子学的特徴が同一であった.
    骨髄移植のレシピエントに,ドナー由来の新生物が発生するのはまれである.ドナー由来の B 細胞が,レシピエントの Epstein-Barr ウイルスにより変化することで,新生物が発生する症例が一部に存在する.しかし今回の症例では,おそらくレシピエントが免疫抑制状態にあり,姉妹の HLA 型も同一であったために,骨髄と共に伝播した少数の腫瘍細胞が生着し増殖したものと思われる.

  • 最近の概念:慢性血栓塞栓性肺高血圧症
    Current Concepts: Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension

    最近の概念:慢性血栓塞栓性肺高血圧症

    肺高血圧症の一因として,慢性の血栓塞栓による肺動脈閉塞がある.この病態が診断されれば,血栓内膜摘出術により,血行動態と生存率の改善をもたらす可能性がある.

  • 医学の進歩:不整脈による突然死
    Medical Progress: Sudden Death from Cardiac Arrhythmias

    医学の進歩:不整脈による突然死

    この総説は,心室性不整脈による突然死という,深刻な公衆衛生問題に対するアプローチの重要な変化を概括している.

  • 特別報告:2001 年 9 月 11 日のテロリスト攻撃後のストレス反応に関する全米調査
    Special Report: Stress Reactions after the September 11, 2001, Terrorist Attacks

    特別報告:2001 年 9 月 11 日のテロリスト攻撃後のストレス反応に関する全米調査死

    9 月 11 日のテロリスト攻撃のあと,米国民は心理的ストレス症状を経験した.攻撃のわずか 5 日後に行われた,米国成人を対象とするこの調査は,ストレス反応の程度を定量的に示している.