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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 4, 2003
Vol. 349 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • 無症状の成人における大腸新生物スクリーニングのためのCT 仮想大腸内視鏡
    CT Virtual Colonoscopy to Screen for Colorectal Neoplasia in Asymptomatic Adults

    無症状の成人における大腸新生物スクリーニングのためのCT 仮想大腸内視鏡

    無症状の成人を対象としたこの大規模研究では,コンピュータ断層撮影(CT)仮想大腸内視鏡検査と光学式大腸内視鏡検査を同日に行った.8 mm 以上の腺腫様ポリープの検出に対する仮想大腸内視鏡検査の感度と特異度は,共に 92%以上であった.患者は,光学式大腸内視鏡よりも仮想大腸内視鏡に対してより多く不快感を報告したが,より便利であるとも評価しており,次回のスクリーニング検査では仮想大腸内視鏡検査を選ぶと述べた.
    CT 仮想大腸内視鏡検査は,無症状の成人において大腸ポリープを正確に検出し,光学式大腸内視鏡検査よりもすぐれていた.仮想大腸内視鏡技術の改良がすすんだことが,今回の研究でこれまでの研究よりも高い感度を示したことの一因であった可能性がある.

  • インターロイキン 10 プロモーターの多型,移植片対宿主病,そして造血細胞移植後の生存
    Interleukin-10 Promoter Polymor- phisms, Graft-versus-Host Disease, and Survival after Hematopoietic- Cell Transplantation

    抗炎症性・免疫抑制性サイトカインであるインターロイキン 10 は,同種骨髄移植後の主な合併症である移植片対宿主病(GVHD)を軽減すると考えられている.この研究では,レシピエントのインターロイキン 10 遺伝子に特定の多型が存在することは,急性 GVHD のリスクがかなり低下することと関連していた.
    この研究結果から,レシピエントのインターロイキン 10の遺伝子型を知ることは,重症急性 GVHD の発症を予測するさいの一助となることが示唆される.

  • 成長遅延をもたらす IGF-I 受容体の変異
    IGF-I Receptor Mutations Resulting in Growth Retardation

    低身長の小児 51 例(大半が子宮内胎児発育遅延)を対象に,インスリン様成長因子 I 受容体遺伝子(IGF-IR)の変異についてスクリーニングを行ったところ,子宮内発育遅延を呈し,低身長である小児 2 例に変異が同定された.そのうちの 1 例はエクソン 2 に点突然変異の複合ヘテロ接合体を有し,その結果 IGF-I 受容体結合が顕著に低下していた.もう 1 例は細胞表面 IGF-I 受容体の数を減少させるナンセンス突然変異を有していた.出生体重が正常な対照 43 例では IGF-IR の変異は認められなかった.
    これらのデータより,IGF-IR 遺伝子の変異はまれではあるが,胎児期および出生後の成長障害の原因である可能性が示唆される.

SPECIAL ARTICLE

  • インセンティブ方式償還医薬品集と処方医薬品の利用
    Incentive-Based Formularies and Prescription-Drug Use

    インセンティブ方式償還医薬品集は,医薬品に対して患者が支払う価格が,ジェネリック医薬品に対しては最低で,非推奨ブランド医薬品に対しては最高であるというもので,費用効果の高い医薬品の利用を促進するために用いられている.この研究は,患者負担額の増加を伴う三分類式インセンティブ方式償還医薬品集の利用が,より高価な医薬品の利用から,より安価な医薬品の利用への変更につながることを示している.これは,医薬品にかかる全コストのうちより大きな割合を患者が負担する結果にもなり,一部の患者では,ある種の医薬品の完全な使用中止につながった.

CLINICAL PRACTICE

  • 異形成母斑
    Dysplastic Nevi

    異形成母斑

    26 歳の男性がプライマリケアのため受診している.診察ではこの男性の体に多数の母斑が認められ,男性は「不格好だ」といっている.黒色腫の家族歴はない.また,2 人の兄弟のうち 1 人(15 歳)と父親にも同じような母斑があるという.この症例をどのように管理すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 食道癌
    Esophageal Cancer

    胃食道接合部を含む食道に生じる癌は,米国では比較的まれである――生涯リスクは男性では 0.8%,女性では 0.3%で,年齢と共に増加する.症状は潜行性で,診断時には患者の 50%以上に切除不能な癌または X 線画像で確認できる転移が認められ,管理をむずかしくしている.この総説は,食道癌の病因と臨床症状,治療,予後について述べている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 線維症の予防
    Forestalling Fibrosis

    腎線維症は細胞外基質の蓄積――プラスミノーゲン活性化因子の活性によって決定される過程――によって生じる.最近の研究では,ラットモデルにおいて,プラスミノーゲン活性化因子の活性の増大が線維症を予防することが示されている.