The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 8, 2004
Vol. 350 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 院外心肺蘇生のためのバソプレッシン
    Vasopressin for Out-of-Hospital Cardiopulmonary Resuscitation

    院外心肺蘇生のためのバソプレッシン

    エピネフリンは心停止患者の蘇生時の使用に推奨されている.この臨床試験では,バソプレッシンはエピネフリンと比較して,入院までの生存率および退院までの生存率を改善させたが,その効果は収縮不全による心停止の患者に対してのみであった.心室細動患者や無脈性電気活動のある患者では,バソプレッシン治療による利点はみられなかった.
    今回の知見が確認されれば,心停止患者における昇圧療法がさらに改良され,心肺蘇生に関する勧告に変化がもたらされるであろう.

  • 真性多血症における低用量アスピリン
    Low-Dose Aspirin in Polycythemia Vera

    静脈血栓や動脈血栓は真性多血症の主な合併症であるが,最良の血栓予防法については不確かさが残っている.この無作為試験では,低用量アスピリン(100 mg/日)により,プラセボと比較して血栓性イベントのリスクが低下し,出血の増加も生じないことが示された.
    限界はあるものの,この試験により,アスピリン治療が禁忌ではない真性多血症患者における,血栓予防を目的とした低用量アスピリンの使用について,再考が促されるだろう.

  • 特発性肺線維症に対するインターフェロンγ-1b
    Interferon Gamma-1b for Idiopathic Pulmonary Fibrosis

    1999 年,特発性肺線維症患者を対象とした,インターフェロンγ-1b および低用量プレドニゾロンによる長期治療の予備試験の結果が本誌で発表された.今回の研究の研究者らは,コルチコステロイドに反応しない特発性肺線維症患者 330 例を継続的に追跡した試験の結果を報告している.この試験で患者は,インターフェロンγ-1b またはプラセボの皮下投与に無作為に割付けられた.中央値で 1 年以上経過しても,インターフェロンγ-1b 療法では,無進行生存率,肺機能の指標,ガス交換,QOL は改善されなかった.
    インターフェロンγ-1b 療法の生存に対する利益を否定することはできないが,特発性肺線維症に対するこの治療法に見込まれた初期の期待は実現されていない.

  • 葉酸受容体に対する自己抗体と神経管欠損症
    Autoantibodies against the Folate Receptor and Neural-Tube Defects

    妊娠前後の葉酸補充により,臨床的に葉酸欠乏の認められない女性の胎児において,神経管欠損症の発症率が減少する機序については明らかにされていない.著者らは,葉酸受容体に対する自己抗体に関するアッセイ法を開発し,現在あるいは過去に神経管欠損症児を妊娠した 12 例の女性中,9 例にこれらの自己抗体を認めた.一方,合併症を伴わない妊娠をした 20 例の女性では,2 例に認められた.自己抗体は,in vitro で [3H] 葉酸の葉酸受容体への結合を阻害した.
    これらのデータは,葉酸受容体に対する自己抗体が,少なくとも神経管欠損症の一部の症例に関与している可能性を示唆している.しかし,因果関係があると考えるには,さらにデータが必要である.

SPECIAL ARTICLE

  • 営利医療保険および非営利医療保険における手術の利用
    Use of Operative Procedures in For-Profit and Not-for-Profit Health Plans

    営利医療保険では,支出を減らすために,患者の治療,とくに高額手術の利用を制限している可能性があるという懸念がある.メディケア受給者を対象としたこの研究では,この懸念とは反対のことが明らかになった.営利医療保険に加入している受給者では,非営利医療保険の受給者と比較して利用率の高い高額手術もあった.その他の手術の利用率はほぼ同程度であった.
    この研究の所見は予想外であったが,医療保険における報奨金の影響に関するわれわれの理解にとって重要な意味がある.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 多発性嚢胞腎
    Polycystic Kidney Disease

    多発性嚢胞腎

    多発性嚢胞腎は,尿細管に配列する細胞の発達と機能を調節する遺伝子の突然変異が主な原因となる,遺伝性腎疾患である.この総説は,多発性嚢胞腎の臨床上の重要性を概説し,腎実質で非常に多くの嚢胞性病変の形成を引き起す細胞生物学と分子機構について論じている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 家族性円柱腫と TNF-α 経路
    Familial Cylindromatosis and the TNF-α Pathway

    最近の研究で,家族性円柱腫において変異している遺伝子が,腫瘍壊死因子 α(TNF-α)のシグナル伝達を抑制することが明らかになった――これは,この疾患の予防に影響を及ぼす可能性のある知見である.