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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 28, 2005
Vol. 352 No. 17

ORIGINAL ARTICLE

  • 成人における RS ウイルス感染
    Respiratory Syncytial Virus Infections in Adults

    成人における RS ウイルス感染

    連続する 4 年間の冬季に,健常な高齢患者 608 例および慢性心疾患または慢性肺疾患の成人 540 例から成るコホートにおいて,前向き調査を実施した.また,急性の心肺系疾患により入院した成人 1,388 例についてもウイルス検査を実施した.RS ウイルス(RSV)感染は,毎年,健常な高齢者の 3~7%,高リスク成人の 4~10%で発生した.入院患者のコホートでは,RSV 感染は,肺炎患者の 11%,慢性肺疾患患者の 11%,喘息患者の 7%でみられた.
    高齢者と高リスク成人における RSV 感染に関連する疾病負荷は,非流行性 A 型インフルエンザと同程度である.RSV ワクチンの投与により,これらの成人が大きな利益を得る可能性がある.

  • 肺塞栓が疑われる症例におけるマルチスライス CT
    Multidetector-Row CT in Suspected Pulmonary Embolism

    肺塞栓が疑われる症例におけるマルチスライス CT

    肺塞栓の診断におけるマルチスライスコンピュータ断層撮影(CT)の役割は,まだ決定されていない.この研究では,マルチスライス CT と D-ダイマー測定を併用することで,下肢の超音波検査を必要とすることなく肺塞栓を除外診断することができた.

  • 人種または民族別のヘモクロマトーシスと鉄過剰症のスクリーニング
    Hemochromatosis and Iron-Overload Screening According to Race or Ethnicity

    HFE 遺伝子の変異は,ヘモクロマトーシスに関連している.さまざまな人種・民族の集団を対象にしたこの大規模研究において,HFE 遺伝子の C282Y 変異のホモ接合型は,非ヒスパニック系白人(0.44%)において,アメリカ先住民(0.11%),ヒスパニック(0.027%),黒人(0.014%),太平洋諸島住民(0.012%),アジア人(0.000039%)よりも多く認められた.C282Y ホモ接合型の人のほとんどで,フェリチン値とトランスフェリン飽和率が上昇していた.
    HFE 遺伝子変異の発生率は民族・人種により大きく変動する.変異をもつ患者は,もたない患者よりも鉄濃度が高い.

  • 骨髄増殖性疾患における JAK2 の機能獲得型変異
    Gain-of-Function JAK2 Mutation in Myeloproliferative Disorders

    骨髄増殖性疾患における <i>JAK2 </i>の機能獲得型変異

    真性赤血球増加症,本態性血小板血症,骨髄線維症は,特発性の骨髄増殖性疾患である.この研究者らは,造血前駆細胞の重要なシグナル伝達蛋白質である JAK2 をコードする遺伝子の変異を同定した.この変異は,JAK2 に構成的な活性化を引き起し,その結果,変異が起きた細胞では増殖や生存が正常細胞よりも有利になる.
    この研究は,謎の多いこの 3 つの疾患に解明の光を投じるものである.また,新たな研究の糸口として,診断・治療の改善につながる可能性がある.

CURRENT CONCEPTS

  • 大脳静脈と脳静脈洞の血栓症
    Thrombosis of the Cerebral Veins and Sinuses

    大脳静脈と脳静脈洞の血栓症は,主に若年成人と小児に発生する.障害が残る可能性や死にいたる可能性のあるこの病態は,通常,発症から 1 週間経たないと診断がつかない.この総説では,頭部外傷や腰椎穿刺のあとに発生する血栓症を例としてあげ,この疾患の臨床所見を説明している.治療の選択肢には,抗凝固療法,血栓溶解療法,頭蓋内圧亢進をコントロールする処置などがある.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 四肢脱力を呈し脊髄神経に多発性腫瘍を有する男性
    A Man with Weakness of the Limbs and Multiple Tumors of Spinal Nerves

    48 歳の男性が,上下肢の進行性の脱力と左下肢の疼痛のため神経内科を受診した.画像検査では,坐骨神経と複数の脊髄神経根に腫大が認められた.患者の 29 歳の甥は,神経線維腫症と診断されたことがあった.それ以外の家族に罹患者がいたかどうかはわかっていない.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 血管新生と虚血
    Angiogenesis and Ischemia

    血管新生と虚血

    2 つの虚血モデルにおいて,血小板由来成長因子ファミリーに属する PDGF-CC は,血管新生の誘発に必要であり,また,十分に誘発しうることが明らかになった.