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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 5, 2005
Vol. 352 No. 18

ORIGINAL ARTICLE

  • リンチ症候群のスクリーニング
    Screening for the Lynch Syndrome

    リンチ症候群のスクリーニング

    リンチ症候群は,大腸癌患者における遺伝性非ポリポーシスである.この診断は,治療や家族の癌リスクと密接な関わりがある.新たに大腸癌と診断された患者 1,066 例を対象としたこの研究では,患者 23 例と家族 52 例が,リンチ症候群を引き起す変異について陽性であった.仮に,遺伝子スクリーニングを行う患者の選択のさいに年齢や家族歴の有無といった基準を用いたとすると,多くの変異が検出されなかったと考えられる.
    大腸癌患者においてリンチ症候群のスクリーニングをルーチンで行うことは,患者とその家族にとって有益である可能性がある.

  • 心房細動に対するアミオダロンとソタロールの比較
    Amiodarone versus Sotalol for Atrial Fibrillation

    心房細動に対するアミオダロンとソタロールの比較

    持続性心房細動の患者において,アミオダロンとソタロールは,不整脈の洞調律への回復に同程度有効であった.しかし,洞調律の維持については,アミオダロンのほうがソタロールよりも明らかに優れていた.この結果は,アミオダロンが心房細動の管理における第一選択薬であることを立証している.

  • HIV 検査における急性感染の検出
    Detection of Acute Infections in HIV Testing

    標準的な抗体スクリーニングでは,HIV に最近感染し,ウイルス血症を起しているが抗体検査では陰性の人を検出できない.ノースカロライナ州では,HIV の核酸増幅検査法を,1 年間に検査を受けた被験者 109,250 例のスクリーニングに加えた.急性感染者計 23 例が,この追加検査によってのみ同定された.
    核酸増幅検査を標準的な HIV スクリーニング検査に加えることにより,症例の検出率が 3.9%上昇し,また,もっとも他人に感染させやすい時期である急性感染期の患者を検出することができた.

BRIEF REPORT

  • 抗利尿不適合性腎症候群
    Nephrogenic Syndrome of Inappropriate Antidiuresis

    抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)は,低ナトリウム血症のよくみられる原因である.この論文は,SIADH の臨床像を呈していながら,アルギニンバソプレシン濃度が検出できないほど低い 2 例の乳児について述べている.乳児はそれぞれ V2 バソプレシン受容体に機能獲得型変異を有しており,この変異によりコドン 137 のアルギニンがシステインまたはロイシンに変化し,受容体の恒常的活性化が引き起された.著者らは,この疾患を「抗利尿不適合性腎症候群(nephrogenic syndrome of inappropriate anti-diuresis)」と呼んでいる.

CLINICAL PRACTICE

  • 持続性の腰痛
    Persistent Low Back Pain

    うつ病と軽度の腰痛の既往がある 49 歳の整備作業員が,4 ヵ月続く腰痛を訴えて受診している.男性は腰痛が悪化することを恐れて休職中である.疼痛の発現から 2 週間後に行った磁気共鳴画像検査では,腰部に軽度の変性変化が認められたが,それ以外に脊髄狭窄や椎間板の破裂および脱出はみられなかった.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 乾癬
    Psoriasis

    乾癬

    乾癬はよくみられる炎症性皮膚疾患であるが,その発症機序の解明を目的とした研究から,T 細胞介在性自己免疫疾患に関する全体的な理解が大きく進展した.乾癬は,発症機序に基づく新たな生物学的治療の標的として,重要性が増している.この論文の著者らは,乾癬の遺伝的,臨床的,病原的な特徴について概説し,それらが新しい治療法にもたらす意義について論じている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • まったくわからない
    Clear as Mud

    それまで健康であった 17 歳の少年が,プライマリケア医を受診し,4 日間にわたる腰痛,40 ℃の発熱,頭痛,広範囲に及ぶ筋肉痛,嘔吐を訴えた.少年は,米国中西部の中央部で暮らしており,高校 3 年生になるところであった.