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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 13, 2005
Vol. 352 No. 2

ORIGINAL ARTICLES

  • インターンの長時間勤務シフトと自動車事故のリスク
    Interns' Extended Work Shifts and the Risk of Motor Vehicle Crashes

    インターンの長時間勤務シフトと自動車事故のリスク

    インターンが,24 時間以上連続した勤務シフトに従事することは少なくない.そのような状況下では通常ほとんど睡眠をとることができないため,自動車事故のリスクが高くなる.この研究では,インターンが長時間シフトで勤務後に自動車事故に遭うリスクは,通常のシフト後と比較して 2 倍以上であることが明らかになった.

    臨床研修の結果としての睡眠不足により,インターン――ひいては一般の人々――が,自動車事故のリスクにさらされている.

  • 頭蓋内動脈瘤手術における術中低体温
    Intraoperative Hypothermia during Intracranial-Aneurysm Surgery

    頭蓋内動脈瘤手術における術中低体温

    頭蓋内動脈瘤破裂によるくも膜下出血の手術後には,神経障害がよく認められる.この研究では,術後の神経障害を予防するために軽度の術中低体温(目標体温 33℃)を実施したが,予防効果は認められなかった.しかし,この研究に登録した患者はリスクが比較的低かったため,術中低体温が,よりリスクの高い患者に利益をもたらすかどうかは明らかではない.

  • 脳動静脈奇形に対する放射線手術後の出血のリスク
    The Risk of Hemorrhage after Radiosurgery for Cerebral Arteriovenous Malformations

    脳動静脈奇形患者の大規模コホート集団において,放射線手術後,脳出血のリスクが有意に低下した.リスクの低下は,血管造影で奇形の閉塞の所見がみられる以前であっても認められた.出血のリスクは,血管造影で閉塞が確認されたあとさらに低下したが,消失はしなかった.

    この大規模な後ろ向き研究は,脳動静脈奇形に対する放射線手術後に出血のリスクが低下する程度について,情報を提供している.

  • 前立腺癌に対するアンドロゲン除去療法後の骨折リスク
    Risk of Fracture after Androgen Deprivation for Prostate Cancer

    新たに前立腺癌の診断を受けた患者 5 万例以上の記録を検討したところ,性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストまたは精巣摘除術のいずれかでアンドロゲン除去療法を行うと,骨折リスクおよび骨折による入院のリスクが上昇することが明らかになった.

    アンドロゲン除去療法に関連した骨折の相対リスクの上昇は,全体として大きくはなかった.しかし,前立腺癌の発生率の高さやアンドロゲン除去療法の実施がふえていることを考慮すると,アンドロゲン除去療法の有益性が明確でない場合には,リスクと利益を評価し直す必要がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 注意欠如・多動性障害
    Attention Deficit–Hyperactivity Disorder

    ある母親が,自分の 8 歳の息子が,スクールバスの座席から飛び出す,他の子をいじめる,指示に従わないという理由で乗車禁止になったため,検査を受けに連れてきている.男児は一晩に 2~3 時間宿題に取り組むが,やり終えることがないという.母親は,男児が注意欠如・多動性障害であるのかどうかを知りたがっている.この男児をどのように評価し,治療すべきであろうか?

DRUG THERAPY

  • インスリンアナログ
    Insulin Analogues

    1990 年代,糖尿病管理における血糖コントロールの重要性が明白となった.既存の製剤よりも安全性が高く,内因性インスリンの基礎分泌と食事時の分泌をさらに厳密に再現するインスリン製剤の製造に対する関心から,インスリンアナログが創出された.インスリンアナログは,より柔軟な治療計画や低血糖リスクの低下を可能にする作用特性をもつ.この論文では,臨床診療におけるこれらの新規インスリン製剤の使用について考察している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 歩行困難,頭痛,悪心を呈する女性
    A Woman with Difficulty Walking, Headache, and Nausea

    35 歳の女性が,日を追って悪化する歩行不安定に気付き,続いて頭痛と悪心が現れた.平衡感覚も失われてゆき,あるとき転倒した.診察では,認知機能と感覚機能は正常で,脳神経も正常であったが,左側に運動失調が認められた.画像検査では,脳梁と右大脳半球に増強された腫瘤が認められた.鑑別診断と管理について論じられている.