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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
February 17, 2005
Vol. 352 No. 7
ORIGINAL ARTICLE
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硬膜外・脊椎麻酔を分娩の初期に行う場合と後期に行う場合の帝王切開のリスクの比較
The Risk of Cesarean Delivery with Early versus Late Neuraxial Analgesia満期産の未経産女性を対象としたこの無作為試験では,帝王切開率は,分娩初期に脊椎麻酔を受けた女性で,分娩初期に全身麻酔を受けた女性よりも高いということはなかった.分娩初期に脊椎麻酔を受けた女性では,疼痛管理も良好で,分娩までの時間も短かった.
これらのデータから,分娩初期に脊椎麻酔を開始しても,帝王切開のリスクは上昇しないことが再確認される. -
安定冠動脈疾患における B 型ナトリウム利尿ペプチドと死亡率
B-Type Natriuretic Peptide and Mortality in Stable Coronary DiseaseB 型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は血行動態ストレスに反応して心室から放出される物質で,その血中濃度は心不全や不安定冠動脈疾患の予後予測に有用である.この研究では,安定冠動脈疾患において,N 末端プロ BNP(親分子の不活性断片)の血中濃度と全死亡率のあいだに有意かつ独立した関係が認められた.この知見は,このバイオマーカーの予後予測における有用性を,より広範な心疾患患者の集団へと拡大するものである.
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淋菌感染症患者やクラミジア感染症患者の性的パートナーに対する迅速な治療
Expedited Treatment of Sex Partners of Patients with Gonorrhea or Chlamydia淋菌感染症やクラミジア感染症の治療を受けている患者を対象に,性的パートナーに渡す薬剤を提供するか,パートナーへの標準的な専門医紹介を行った.パートナーが迅速な治療を受けた患者のほうが,パートナーが標準的な専門医紹介を受けた患者よりも,淋菌の再感染率や持続感染率が低かった(10% 対 13%).この戦略では,クラミジア感染症の再発に対する効果は,淋菌感染症の再発に対する効果よりも小さかった.
パートナーに迅速な治療を受けさせる戦略は,性感染症の抑制に役立つ可能性があるが,その法的な扱いは多くの州で不明確なままである.
BRIEF REPORT
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下痢および昏睡を呈する 致死的な鳥インフルエンザ
Fatal Avian Influenza Manifested as Diarrhea and Comaベトナム南部で,4 歳の男児が重度の下痢を起し,その後てんかん発作,昏睡を呈し,死亡した.その 2 週間前に,男児の 9 歳の姉が同様の症候群で死亡していた.姉弟とも,臨床診断では急性脳炎とされた.ともに受診時に呼吸器症状はなかった.
鳥インフルエンザ A(H5N1)の診断は,男児の脳脊髄液,糞便,咽頭,血清の検体からウイルスが分離されたことで確定した.この 2 症例は,H5N1 型インフルエンザがこれまでに考えられていたよりも拡大していることを示唆しており,公衆衛生に重大な影響を及ぼす可能性がある.
CURRENT CONCEPTS
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記憶障害
Memory Dysfunction臨床医の実地に役立つこの総説では,記憶障害は現在,エピソード記憶,言語記憶,手続き記憶,作業記憶の 4 つのシステムに即して理解されることを解説している.それぞれの記憶システムには,脳の異なる解剖学的領域が関与している.この記憶に関する概説は,非専門医がさまざまなタイプの記憶障害の患者を評価し,診断するさいに役立つと考えられる.
MEDICAL PROGRESS
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ドクイトグモの咬傷と壊死性クモ刺咬症の疑い
Bites of Brown Recluse Spiders and Suspected Necrotic Arachnidism壊死性クモ咬傷の病態生理と治療法については多くの報告がなされているが,根拠に基づいた正当化がなされないまま治療行為が続けられている.
医療におけるクモ学が最近進展したことを受けて,壊死性クモ咬傷が疑われる症例への対処法の再評価が行われている.この総説では,ドクイトグモの咬傷ならびに壊死性クモ刺咬症の疑われる症例について,その疫学,病態生理および治療法について考察する.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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抑うつと突発性の息切れを呈する男性
A Man with Depression and Sudden Shortness of Breath53 歳の男性が,失業してから活力と食欲を失い,精神医学的評価を受けるために救急科を受診した.男性は大うつ病性障害と診断され,検査では肺浸潤と白血球数の高値が認められた.入院待機中に息切れが生じ,肺水腫がみられた.
著者らは,精神病患者の検診と,「突発的な」肺水腫に対する評価および管理について述べている.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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アミロイドに取り組む
Attacking Amyloid最近の研究では,アミロイドに結合し,内因性蛋白をアミロイド表面に集める分子が,アミロイド形成に対する効果的な阻害薬の開発を容易にする可能性があることが示唆されている.