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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 24, 2005
Vol. 352 No. 8

ORIGINAL ARTICLE

  • コレラに対する経口ワクチン投与の有効性
    Effectiveness of Oral Vaccination against Cholera

    コレラに対する経口ワクチン投与の有効性

    モザンビークのベイラにおいて,2003 年と 2004 年に,遺伝子組換えコレラトキシン B サブユニットと死菌から成るワクチンを 2 回経口投与する,集団ワクチン投与プログラムが実施された.2004 年のコレラ集団発生時に行われた,コレラ症例 43 例とマッチさせた対照者 172 人を対象とした研究では,ワクチン投与によるコレラの予防効果は 78%であることが示された.
    この予防プログラムは,コレラが蔓延し,HIV 感染率が人口の 30%に迫る地域で実施された.この結果は有望ではあるが,予防効果の持続期間はまだ明らかではない.

  • ヒトヘルペスウイルス 6 型の初感染
    Primary Human Herpesvirus 6 Infection

    ヒトヘルペスウイルス 6 型の初感染

    小児 277 例から採取した一連の唾液検体を用いたこの研究では,月齢 12 ヵ月までに 40%が,2 歳までに 77%がヒトヘルペスウイルス 6 型(HHV-6)に感染した.初感染のほぼ全例が症候性で,約 40%が発熱,むずかり,下痢などの症状のため受診した.
    乳児を対象としたこの前向き研究では,救急治療室の受診に基づいた先行研究とは異なり,HHV-6 感染と痙攣との関連性は示されなかった.バラ疹は初感染の 23%でみられた.

  • 急性脳内出血に対する遺伝子組換え活性型第 VII 因子
    Recombinant Activated Factor VII for Acute Intracerebral Hemorrhage

    この無作為試験において,脳内出血の発生から 4 時間以内に遺伝子組換え活性型第 VII 因子(rFVIIa)で患者を治療したところ,血腫の増大ならびに障害の発生率と死亡率が低下した(90 日死亡率は rFVIIa 群で 18%,プラセボ群で 29%).重大な血栓塞栓性の有害事象は,プラセボ群の患者と比較して rFVIIa 群の患者で多く発生した.
    rFVIIa を用いた早期治療により,上述のような合併症の発生率はより高くなるものの,脳内出血患者の機能的転帰および生存率が改善した.

BRIEF REPORT

  • ゲフィチニブ反応性の 非小細胞肺癌における 薬剤耐性の出現
    Emergence of Drug Resistance in Gefitinib-Responsive Non-Small-Cell Lung Cancer

    ゲフィチニブに高い反応性を示す非小細胞肺癌において,腫瘍のゲフィチニブに対する感受性を高める上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子に変異が認められた.2 年間寛解が持続したが,その後疾患が再発した.2 回目の腫瘍生検では,ゲフィチニブの作用を打ち消すような,新たな遺伝子変異が発見された.
    ゲフィチニブを用いた治療は効果的ではあるが,EGFR の活性化変異を有する細胞の増殖による非小細胞肺癌の再発は抑制できない可能性がある.この症例では,腫瘍細胞は薬剤耐性であった.肉眼で容易に確認できる腫瘍細胞の大集団よりも,再増殖が仮定される前駆細胞のほうが,根治治療のより有効な標的となる可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 酒さ
    Rosacea

    47 歳の白人女性が,顔面の発赤と潮紅を訴えている.女性の目は炎症を起しており,痒みがある.女性は,酒さに罹患しているのではないかと思い,「赤鼻」になるのではないかと心配している.診察では,顔面中央部に紅斑が広がり,その上に複数の紅斑性丘疹,膿疱,毛細血管拡張が認められた.この患者をどのように管理すべきであろうか?

MECHANISMS OF DISEASE

  • 慢性リンパ性白血病
    Chronic Lymphocytic Leukemia

    慢性リンパ性白血病

    慢性リンパ性白血病の発症機序に関するわれわれの概念は,ここ 10 年で大きく変化している.この総説では,このよくみられる型の白血病の起源に関する最新の概念に焦点を当て,分子生物学的研究によって疾患管理がどのように変化し始めているのかを論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 悪心,嘔吐,難治性吃逆を呈する食道癌の男性
    A Man with Esophageal Cancer and Nausea, Vomiting, and Intractable Hiccups

    58 歳の食道癌の男性が,悪心,嘔吐,難治性吃逆を呈した.討議者らは,癌患者の苦痛を伴う症状の管理に緩和治療が果す役割について概説する.また,症状の原因の特定とそれぞれの症状に合った治療法の選択には,鑑別診断が重要であることを強調している.