The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 3, 2005
Vol. 352 No. 9

ORIGINAL ARTICLE

  • 胸膜感染に対する胸膜腔内ストレプトキナーゼ投与
    Intrapleural Streptokinase for Pleural Infection

    胸膜感染に対する胸膜腔内ストレプトキナーゼ投与

    抗菌薬治療と胸腔チューブドレナージを必要とする胸膜感染患者 454 例を対象としたこの無作為試験では,胸膜腔内にストレプトキナーゼを投与しても,生存率,手術の必要性,入院期間,X 線画像上で認められる異常の改善のいずれに関しても,利益は得られなかった.
    線維素溶解薬は,胸膜感染のさいに行うドレナージの効果を改善するために用いられることがある.この試験の結果は,ストレプトキナーゼの胸膜腔内投与に治療的利益があるという仮定に疑問を投げかけている.

  • 無症候性僧帽弁閉鎖不全症
    Asymptomatic Mitral Regurgitation

    無症候性僧帽弁閉鎖不全症

    僧帽弁閉鎖不全症患者のほとんどは,診断時には無症候であり,僧帽弁手術の最適な時期や必要性が不明確である.この研究では,ドップラー心エコー検査で僧帽弁逆流を定量化することで,臨床転帰が正確に予測されることが示されている.有効逆流弁口面積が 40 mm2 以上の患者は死亡リスクが高いため,症状がなくとも手術をただちに考慮すべきである.これらの知見は,臨床診療に大きな影響を与える可能性がある.

  • アルツハイマー病の遺伝的危険因子
    Genetic Risk Factors for Alzheimer's Disease

    アルツハイマー病には 4 つの遺伝子が関与するとされているが,それらを合せても,アルツハイマー病に対する寄与危険度は半分に満たないと推定されている.この研究の結果から,第 9 染色体上のユビキリン 1 遺伝子の変異が,遅発性アルツハイマー病の危険因子であることが示唆される.その関連性を確認し,リスクの影響度とメカニズムを明らかにするためには,さらに研究を行う必要がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 1991~2002 年に開始された癌の第 1 相臨床試験のリスクと利益
    Risks and Benefits of Phase 1 Oncology Trials, 1991 through 2002

    1991~2002 年に米国国立癌研究所の癌治療評価プログラムが助成し, 11,935 人が参加した,成人を対象とした 460 件の癌の第 1 相臨床試験を分析した結果,全奏効率は 10.6%,毒性に関連した死亡率は 0.5%であることが判明した.奏効率と死亡率は臨床試験の種類によってばらつきがあった.
    この解析では,全奏効率はこれまでの臨床試験で報告されている 4~6%という数値を上回っているが,毒性事象による死亡リスクは増加していない.治療抵抗性の進行癌患者の第 1 相臨床試験への参加を決定するさいには,リスクと利益の慎重な比較検討が必要である.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 境界線上
    On the Threshold

    ベリーズ出身の 48 歳の航空機整備士が,発熱と精神状態の変化を訴え救急外来を受診した.その 2 週間前に,発熱,筋肉痛,空咳が発現していた.1 日の最高体温は 41.1℃に達し,1 週間後,目覚めると口がきけなくなっていた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 薬剤開発と結核
    Drug Development and Tuberculosis

    マウスモデルでは,ある新規化合物がヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)への感染に抵抗する.

DRUG THERAPY

  • 抗甲状腺薬
    Antithyroid Drugs

    抗甲状腺薬

    抗甲状腺薬は半世紀以上にわたって利用されており,甲状腺機能亢進症,とくにグレーブス病の患者で奏効率が高く,その管理において重要な役割を果している.反応は患者によって異なり,これらの薬剤には重篤な副作用を引き起す恐れがあるため,その複雑な薬理学に関する実用的な知識が必要である.この総説では,これらの化合物の使用に関連した,最近の薬理学データや臨床データについて考察する.