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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 14, 2005
Vol. 353 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 治療歴のある非小細胞肺癌に対するエルロチニブ
    Erlotinib in Previously Treated Non-Small-Cell Lung Cancer

    従来の化学療法後に非小細胞肺癌を再発した患者において,エルロチニブの有効性をプラセボ対照二重盲検試験で検討した.上皮成長因子受容体阻害薬エルロチニブは,約 9%の患者で奏効し,生存期間が延長した例もみられた.
    1~2 レジメンの異なる化学療法が奏効しない非小細胞肺癌患者では,さらに治療を行っても効果が得られないことはよく知られている.この試験は,エルロチニブがこのような患者に有用である可能性を示しており,より進行度の低い非小細胞肺癌においてこの薬剤をさらに研究する必要性を示唆している.

  • 肺癌に対するエルロチニブ ― 分子的および臨床的予後予測因子
    Erlotinib in Lung Cancer ― Molecular and Clinical Predictors of Outcome

    この論文は,非小細胞肺癌患者に対するエルロチニブの臨床試験に付随するものであり,参加者から採取した腫瘍標本を用いて,上皮成長因子受容体(EGFR)蛋白とその遺伝子(EGFR)について検討している.腫瘍の EGFR の発現は,薬剤に対する反応性と関連していたが,生存期間の延長とは関連していなかった.EGFR のコピー数と変異の状態は,反応性および生存のいずれとも関連していなかった.
    この研究の注目すべき所見は,少数の患者を対象とした先行研究とは対照的に,EGFR 変異の存在と EGFR 阻害薬に対する反応性とのあいだに関連は認められないというものである.

  • 高度房室ブロックに対する単腔ペーシングと二腔ペーシングの比較
    Single-Chamber versus Dual-Chamber Pacing for High-Grade Atrioventricular Block

    高度房室ブロックの患者には,通常,永久ペースメーカーの植込みが必要となる.後ろ向き研究では,二腔ペーシングにより,単腔ペーシングと比較して,心房細動,脳卒中,心不全のリスク,ならびにこれらが原因となる死亡のリスクが低下することが示唆されている.しかし,これら 2 つのペーシング法を比較する無作為試験を実施したところ,二腔ペーシングに有意な利点は示されなかった.

BRIEF REPORT

  • 再発性の全身性炎症と ヒトヘルペスウイルス 8 型感染
    Relapsing Systemic Inflammation and Human Herpesvirus 8 Infection

    61 歳の免疫能が正常な女性が,発熱,リンパ節腫脹,脾腫,滑膜炎,発疹を繰り返し発現した.女性はヒト免疫不全ウイルス感染陰性であったが,カポジ肉腫を発症した.炎症症状の再発に伴い,血漿中のヒトヘルペスウイルス 8 型と末梢血中の単核球が急増した.

CLINICAL PRACTICE

  • 骨粗鬆症のスクリーニング
    Screening for Osteoporosis

    年 1 回の検診に訪れた 60 歳の女性が,骨粗鬆症のスクリーニングのために骨密度検査を受けるべきかどうか,担当医に尋ねている.女性は 52 歳で閉経を迎え,閉経後ホルモン療法を 4 年間受けた.カルシウム 500 mg を 1 日 2 回服用し,定期的に運動している.骨折の既往はないが,女性の母親は 82 歳のときに大腿骨頸部骨折を起した.身長は 63 インチ(160 cm),体重は 120 ポンド(54.5 kg)である.担当医はどのようなアドバイスをすべきであろうか?

MECHANISMS OF DISEASE

  • 癌治療の標的としてのチロシンキナーゼ
    Tyrosine Kinases as Targets for Cancer Therapy

    チロシンキナーゼは,ポリペプチドにおいて,ATP からチロシン残基へのリン酸輸送を触媒する酵素であり,体内のいたるところに存在する.また,チロシンキナーゼは,癌の発生に関与しているため,治療介入の選択的標的として臨床的に大きな関心が寄せられている.この包括的な総説は,チロシンキナーゼの分子生物学的特徴および臨床的特徴について述べている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 黄疸と血小板減少を呈する男の乳児
    A Male Infant with Jaundice and Thrombocytopenia

    生後 4 週間の男の乳児が,黄疸と腹部膨満のため入院した.磁気共鳴画像検査では,肝臓,膵臓,心臓で信号の減少がみられ,肝臓には小結節形成が認められた.診断検査が行われた.