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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 30, 2007
Vol. 357 No. 9

ORIGINAL ARTICLE

  • 対立遺伝子の変異と多発性硬化症のリスク
    Allelic Variants and Risk of Multiple Sclerosis

    多発性硬化症に関する大規模なゲノムワイド関連研究により,この疾患と統計学的に強い関連を有する一塩基多型がいくつか明らかになった.これらの対立遺伝子の変異のうち,もっとも強い関連を有する 3 個,すなわち HLA 領域にある遺伝子と,IL2RA IL7RA の対立遺伝子が,免疫学的要素と関連していた.IL2RA IL7RA は,共にほかの自己免疫疾患にも関与している.

  • 特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
    Idiopathic Hypogonadotropic Hypogonadism

    この研究では,特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症からの持続的な回復(テストステロン濃度の成人正常値が得られることと定義)が,ホルモン療法の中止後にも認められた 15 例の男性について報告している.持続的な回復は患者の約 10%に認められるようである.したがって,低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の可逆性を評価するために,ホルモン療法を短期的に中断することは妥当といえる.

  • 外傷性脳損傷における生理食塩水とアルブミンの比較
    Saline or Albumin in Traumatic Brain Injury

    外傷性脳損傷患者 460 例を対象に,集中治療が必要な患者に対する輸液蘇生において生理食塩水とアルブミンを比較した大規模無作為化試験の事後解析を行ったこの研究では,死亡率は,アルブミン投与群のほうが有意に高かった.この知見から,重度外傷性脳損傷患者の輸液蘇生にはアルブミンを用いるべきでないことが示唆される.

  • 心臓移植待機患者に対する連続流人工心臓の使用
    Use of a Continuous-Flow Pump in Patients Awaiting Heart Transplantation

    一連の重症心不全患者 133 例に対して,連続流左心補助人工心臓の移植を行った.6 ヵ月の時点で,患者の75%が,心臓移植を受けたか,人工心臓摘出後に心機能が改善したか,あるいはその後の移植に対して禁忌とはならずに人工心臓による補助を受けていた.重大な有害事象として,術後出血,脳卒中,ドライブライン感染などがあった.

BRIEF REPORT

  • 黄体形成ホルモンと性腺機能低下症
    Luteinizing Hormone and Hypogonadism

    著者らは,黄体形成ホルモン単独欠損による性腺機能低下症を呈する 3 人兄弟(男性 2 例,女性 1 例)について述べている.著者らは,異常なプロセシングを引き起こすことで黄体形成ホルモンの分泌を止める,黄体形成ホルモン β サブユニット遺伝子の 5' スプライス部位のホモ接合性変異を新たに発見した.この変異は,男女両性において家族性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こすと考えられる.

MEDICAL PROGRESS

  • 骨粗鬆症に対する蛋白同化物質療法の作用機序
    Mechanisms of Anabolic Therapies for Osteoporosis

    骨吸収抑制薬は,骨代謝を抑制することによって,主に組織レベルにおける骨バランスの修復を助ける.もう 1 つの治療法は同化作用物質の使用による骨形成の促進であり,骨吸収抑制薬とは主に作用機序が根本的に異なる.この論文は,骨粗鬆症に対する治療の選択肢となる可能性のある,ポリペプチド同化作用物質とストロンチウムの作用機序について検討している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 子宮内胎児死亡が生じた妊婦
    A Pregnant Woman with Intrauterine Fetal Death

    初妊婦が妊娠 39.7 週で死産児を娩出した.B 群連鎖球菌の検査は陽性であった.妊婦には風疹の免疫があり,血液型は B 型 Rh+である.分娩の 14 週前に肋軟骨炎を発現し,6 週前に大腿部に中央部がきれいな楕円形の赤い発疹が出たことを除けば,妊娠期間中に問題はなかった.入院の日,胎動が止まり子宮収縮が始まった.外部胎児監視装置および超音波検査により,子宮内胎児死亡が確認された.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • タウ蛋白について
    A Tale about Tau

    タウ蛋白を減少させることで,変異型アミロイド前駆体蛋白によって引き起こされる行動異常の発現と記憶障害から,マウスを保護するようである.