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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 3, 2008
Vol. 358 No. 1

ORIGINAL ARTICLE

  • 院内心停止後の除細動実施の遅延
    Delayed Time to Defibrillation after In-Hospital Cardiac Arrest

    最初の除細動実施までの時間と蘇生の成功との関連が,米国心肺蘇生登録に登録された 6,789 例の患者コホートで検討された.除細動実施までの時間が 2 分以上であった患者では,自発的な循環の再開,24 時間の生存,退院時の生存の可能性が有意に低く,加えて神経学的・機能的転帰が不良であった.

  • 神経膠腫摘出術における言語機能マッピング後の機能的転帰
    Functional Outcome after Language Mapping for Glioma Resection

    連続した神経膠腫患者 250 例に対し,言語領域を切除しないよう,皮質刺激と言語機能検査の誘導下で腫瘍摘出が行われた.従来の術式とは異なり,陽性の言語野が領域内に認められない場合には,術野の外側を検査する必要はなかった.この「陰性言語機能マッピング」戦略により,忍容可能な転帰が得られ,6 ヵ月の時点で言語障害を有していたのは生存患者 243 例中 4 例のみであった.

  • PAF,PAF アセチルヒドロラーゼ,および重症アナフィラキシー
    PAF, PAF Acetylhydrolase, and Severe Anaphylaxis

    血小板活性化因子(PAF)はアナフィラキシーのメディエータであり,酵素 PAF アセチルヒドロラーゼにより血中で分解される.この研究において,アナフィラキシー反応を示す患者では,アナフィラキシーを認めない被験者よりも血中 PAF 濃度が高く,PAF アセチルヒドロラーゼの活性が低いことが明らかになった.PAF アセチルヒドロラーゼ値は,ピーナッツに対するアナフィラキシー反応により死亡した患者で低かった.

  • 進行胃食道癌に対するカペシタビンとオキサリプラチン
    Capecitabine and Oxaliplatin for Advanced Esophagogastric Cancer

    エピルビシンとシスプラチンにフルオロウラシルを加えた 3 剤化学療法は,進行胃食道癌に対する標準療法である.フルオロウラシルは,携帯型輸液ポンプを介して注入する必要があるため QOL を低下させる.一方,シスプラチンは,腎毒性があるため経静脈的水分補給を必要とする.この無作為化試験では,経口フルオロピリミジン系薬剤であるカペシタビンと,水分補給を必要としない白金製剤であるオキサリプラチンの併用は,全生存期間の延長に関して,フルオロウラシル+シスプラチンと同等の有効性を示した.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 多嚢胞性卵巣症候群の治療のためのメトホルミン
    Metformin for the Treatment of the Polycystic Ovary Syndrome

    23 歳の多嚢胞性卵巣症候群の女性が,評価と考えられる治療を求めて受診している.女性には糖尿病の家族歴があり,肥満で耐糖能異常がある.メトホルミン療法が推奨される.メトホルミンはインスリン感受性を高め,糖尿病のリスクを低減する可能性がある.多嚢胞性卵巣症候群に対するメトホルミンの長期投与は,排卵を促進し,月経周期を改善し,血清アンドロゲン値を低下させる可能性がある.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 大うつ病
    Major Depressive Disorder

    大うつ病に関するこの総説では,この障害に関与しているとされる遺伝的,生化学的,神経生理学的変化について包括的に説明している.この疾患の臨床的な多様性は,単一の機序をもってすべて説明することは不可能である.抗うつ薬の作用の多くはモノアミンオキシダーゼの理論で説明がつくが,うつ病には遺伝的因子,ストレス,心理社会的因子も関与している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 治療反応の欠如
    Failure to Respond

    52 歳の男性が,呼吸困難と咳嗽のためプライマリケア医を受診した.この 15 年間に咳嗽症状が繰り返しみられ,その症状は経口コルチコステロイドによる間欠的治療によってのみ軽減した.この 3 週間で咳嗽の頻度が増し,重度の呼吸困難が発現した.今回は 2 週間のプレドニゾン投与を受けたが,症状は緩和されなかった.ときおり悪寒があったが,発熱はなかった.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • B 細胞の正体
    B-Cell Identity

    マウスでは,転写因子 Pax-5 を除去すると B 細胞の脱分化が起こる.これらの脱分化した細胞の一部は,機能的 T 細胞に再分化する.