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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 13, 2008
Vol. 358 No. 11

ORIGINAL ARTICLE

  • 術中覚醒とバイスペクトラルインデックス
    Anesthesia Awareness and the Bispectral Index

    術中覚醒は,心理学的に重大な影響をもたらす可能性がある.処理脳波から算出されるバイスペクトラルインデックス(BIS)を用いることで,術中覚醒が減少することが報告されている.この無作為化比較試験において,BIS に基づくプロトコールと呼気終末麻酔ガス濃度測定に基づくプロトコールを比較した結果,明らかな術中覚醒が各群とも 2 例発生した.この研究では,術中覚醒の発生率低下における BIS モニタリングの利益は示されなかった.

  • セツキシマブ誘発性アナフィラキシーとガラクトース-α-1,3-ガラクトース特異的 IgE
    Cetuximab-Induced Anaphylaxis and IgE Specific for Galactose-α-1,3-Galactose

    大腸癌および頭頸部扁平上皮癌の治療に用いられるモノクローナル抗体のセツキシマブに対する即時型過敏反応は,セツキシマブに対する IgE 抗体と関連することが明らかにされた.これらの抗体は,治療前の血清中に存在し,セツキシマブモノクローナル抗体の重鎖に存在するガラクトース-α-1,3-ガラクトースに対して特異的であった.

  • DNA メチル化マーカーと I 期肺癌
    DNA Methylation Markers and Stage I Lung Cancer

    遺伝子のプロモーター領域のメチル化は,遺伝子発現に影響を与える機序である.I 期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象としたこの研究では,腫瘍・リンパ節検体から採取した 7 つの遺伝子,p16CDH13APCRASSF1AMGMTASCDAPK のメチル化について検討した.4 つの遺伝子(p16CDH13RASSF1AAPC)が,メチル化された場合に根治目的の手術後の再発と関連していた.

BRIEF REPORT

  • VEGF 阻害と腎臓の血栓性微小血管症
    VEGF Inhibition and Renal Thrombotic Microangiopathy

    血管内皮増殖因子(VEGF)に対するヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブの投与後,患者 6 例で蛋白尿が発現し,腎生検で血栓性微小血管症が認められた.著者らは,マウスモデルにおいて,腎臓の足細胞から VEGF 遺伝子を除去する条件遺伝子標的法を用いると,血栓性微小血管症が誘発される可能性があることを示した.この研究結果は,ベバシズマブによる糸球体障害が,VEGF を直接標的としていることによるものである可能性を示唆している.

SPECIAL ARTICLE

  • インドの成人における喫煙と死亡率
    Smoking and Mortality among Adults in India

    インドにおけるこの大規模症例対照研究では,喫煙率は年齢 30~69 歳の女性で約 5%,男性で約 37%であった.喫煙は,結核・呼吸器疾患・心血管疾患・癌による死亡率の上昇と関連していた.

MOLECULAR ORIGINS OF CANCER

  • 癌のエピジェネティクス
    Epigenetics in Cancer

    遺伝子の転写は,遺伝子の可逆的修飾により活性化されたり阻害されたりすることがあり,この修飾は「エピジェネティックな変化」と呼ばれる.癌のエピジェネティクスに関するこの報告では,癌細胞におけるエピジェネティックな変化の機序と帰結を概説し,この変化が癌の診断,予後,治療にかかわっていると結論付けている.

DRUG THERAPY

  • 癌治療における EGFR 阻害薬
    EGFR Antagonists in Cancer Treatment

    ほとんどの上皮細胞癌では,上皮細胞成長因子受容体(EGFR)ファミリーの成長因子および受容体の機能が活性化するため,EGFR が癌治療の標的となる.この論文では,EGFR 阻害薬の作用機序,その抗癌活性,癌患者の治療に用いる際の臨床的問題点について論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 腎移植後に発熱,腹痛,汎血球減少を呈した 33 歳の男性
    A 33-Year-Old Man with Fever, Abdominal Pain, and Pancytopenia after Renal Transplantation

    33 歳の男性が,腎移植後 15 年で発熱,腹痛,汎血球減少を呈し入院した.画像検査で肝脾腫が認められた.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 膵島移植と免疫抑制
    Islet Transplantation and Immunosuppression

    1 型糖尿病のマウスモデルを用いた実験により,膵島移植に用いられる免疫抑制薬が,膵β細胞の増殖を抑制する可能性のあることが示唆された.