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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 3, 2008
Vol. 359 No. 1

ORIGINAL ARTICLE

  • 重症患者に対する腎補助の集中度
    Intensity of Renal Support in Critically Ill Patients

    この無作為化対照試験では,急性腎障害に加え,腎臓以外の臓器不全を 1 つ以上あるいは敗血症を呈した重症患者を対象に,標準的な腎代替療法とより集中的な治療法の比較を行った.集中的腎補助を行っても,週 3 回の間欠的血液透析と比較して死亡率の低下,腎機能回復の促進,腎臓以外の臓器不全の発生率の低下はみられなかった.

  • 心肺蘇生におけるバソプレシン併用または非併用下でのエピネフリン投与
    Epinephrine with or without Vasopressin in Cardiopulmonary Resuscitation

    この臨床試験では,院外心肺蘇生におけるエピネフリン+バソプレシンの併用投与とエピネフリン単独投与の比較を行った.バソプレシンの併用による有益性は認められなかった.これらの所見から,バソプレシンはこのような臨床状況には推奨できない.

  • 進行性甲状腺分化癌におけるモテサニブ二リン酸
    Motesanib Diphosphate in Progressive Differentiated Thyroid Cancer

    この第 2 相試験では,甲状腺分化癌の進行例を対象に,VEGF 受容体の経口活性阻害薬モテサニブの有効性を検討した.患者はいずれも従来の治療では奏効しなかった.完全奏効した患者はなかったが,14%は部分奏効し,その期間の中央値は 32 週であった.モテサニブは,通常の治療では奏効しなかった甲状腺分化癌の転移例または局所進行例に対する 1 つの治療選択肢である.

  • モザンビークにおける心内膜心筋線維症
    Endomyocardial Fibrosis in Mozambique

    心内膜心筋線維症は,世界的に頻度の高い拘束型心筋症の原因であり,病期が進行した場合予後が不良である.この研究では,モザンビークで,心エコーによる心内膜心筋線維症のスクリーニングを行った.有病率は 20%近くあり,そのほとんどは軽症~中等症であった.これらのデータは,治療あるいは予防アプローチ開発の一助となるかもしれない.

SPECIAL ARTICLE

  • 外来診療での電子カルテの導入
    Adoption of Electronic Health Records in Ambulatory Care

    この全米調査から,広範かつ十分な機能を備えた電子カルテシステムを使用している医師はわずか 4%しかおらず,なんらかの形の基本的な電子カルテを使用している医師は 13%であることがわかった.電子カルテを使用している医師は,概してそのシステムに満足しており,患者が受ける医療の質が向上すると考えている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 子宮内および乳幼児期の病態が成人期の健康と疾患に及ぼす影響
    Effect of In Utero and Early-Life Conditions on Adult Health and Disease

    疫学的データや,詳細な臨床試験,実験研究を含むさまざまなエビデンスから,乳幼児期に生じた事象が特定の慢性疾患に対する後の感受性に大きく影響することが示されている.この総説では,発育期に作用する環境因子を,疾患の因果関係モデルにおいてより重視すべきだという主張を支持する複数領域のエビデンスについて,総合的に論じている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 腸の症状と直感と
    A Gut Feeling

    72 歳の男性が,3 ヵ月にわたる水様性下痢のため受診した.下痢に伴い,ときおり発熱と腹痛がみられ,体重が 15 ポンド(6.8 kg)減少した.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 黄色ブドウ球菌の黄金色の被膜の除去
    Removing the Golden Coat of Staphylococcus aureus

    in vitro および in vivo において,黄色ブドウ球菌株のカロテノイド色素の合成を阻害したところ,その毒力が失われた.