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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 6, 2010
Vol. 362 No. 18

ORIGINAL ARTICLE

  • エベロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントの比較
    Everolimus-Eluting versus Paclitaxel-Eluting Stents

    この臨床試験では,冠動脈疾患患者において,エベロリムス溶出ステントの有効性をパクリタキセル溶出ステントと比較した.1 年後の臨床転帰は,糖尿病患者以外ではエベロリムス溶出ステントのほうが優れており,エベロリムス溶出ステントの優位性は糖尿病患者では認められなかった.これらの結果は,臨床診療に影響を及ぼすものと考えられる.

  • 非アルコール性脂肪性肝炎に対するピオグリタゾン,ビタミン E,プラセボの比較
    Pioglitazone, Vitamin E, or Placebo for Nonalcoholic Steatohepatitis

    糖尿病を合併していない非アルコール性脂肪性肝炎の成人を対象に,ビタミン E,ピオグリタゾン,プラセボの効果を比較したこの無作為化試験では,ビタミン E 療法はプラセボ投与と比較して,非アルコール性脂肪性肝炎の改善率が有意に高いことと関連していた(43% 対 19%).ピオグリタゾンについては,プラセボを上回る有意な有益性は一部の副次的転帰に認められたが,主要転帰では認められなかった.

  • 汎発性白斑とチロシナーゼ
    Generalized Vitiligo and Tyrosinase

    ゲノムワイド関連研究の結果から,汎発性白斑と免疫応答に関わる遺伝子とチロシナーゼをコードする変異型 TYR とのあいだに関連が示された.この変異型 TYR は,免疫監視機構の標的になる可能性がとくに高い蛋白質をコードしている.

SPECIAL ARTICLE

  • 投薬の安全性に対するバーコード技術の効果
    Effect of Bar-Code Technology on the Safety of Medication Administration

    大規模な大学病院を対象としたこの研究では,電子投薬記録にバーコード技術を導入する前後における投薬過誤について検討している.導入後は,処方オーダーの転記時の過誤はまったく発生せず,投薬時の過誤と潜在的有害薬物イベントは減少した.

MEDICAL PROGRESS

  • 2009 パンデミックインフルエンザ A(H1N1)ウイルス感染の臨床像
    Clinical Aspects of Pandemic 2009 Influenza A (H1N1) Virus Infection

    2010 年 3 月現在,2009 H1N1 ウイルスを原因とする疾患が世界的に発生し,検査で確認された症例から 16,000 件を超える死亡が世界保健機関(WHO)に報告されている.米国では,推定で 5,900 万件のパンデミック H1N1 インフルエンザ,265,000 件の入院,12,000 件の死亡が生じた.WHO の専門家によるこの総説では,2009 H1N1 ウイルスに関するウイルス学的・疫学的・臨床的データをまとめるとともに,今後の方向性を評価している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 拍動は続く
    The Beat Goes On

    45 歳の男性が,野球の試合を観戦中に失神し,救急部を受診した.失神の前には突然めまいが生じた.数秒後に覚醒し,意識清明であった.悪心と発汗を覚えたが,失神の前後に胸痛はなかったという.

SPECIAL REPORT

  • 情報技術と H1N1 のグローバルサーベイランス
    Information Technology and Global Surveillance of H1N1

    リアルタイム型のオンライン技術は,新興疾患の脅威を,たとえそれがさまざまな地域のかすかなシグナルであっても検出し,調査する新しい手段を生み出している.NEJM.org では,情報源の公式・非公式を問わず,87,000 件超の報告データに基づく双方向の情報を,2009 H1N1 パンデミックの調査に役立てている.実時間更新による H1N1 ウイルスの世界的な伝播図も示す.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 冠動脈疾患への感受性
    Susceptibility to Coronary Artery Disease

    ゲノムワイド関連研究により,染色体 9p21 上のある領域と冠動脈疾患との関連が示唆された.この関連は,おそらく大動脈平滑筋細胞の増殖に介在する 2 つの遺伝子がもたらしていると考えられる.