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June 17, 1999 Vol. 340 No. 24

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フォンヒッペル–リンダウ病と多発性内分泌腺腫症 II 型における褐色細胞腫の発見のための血漿ノルメタネフリンおよび血漿メタネフリン
Plasma Normetanephrine and Metanephrine for Detecting Pheochromocytoma in von Hippel–Lindau Disease and MEN-2

G. EISENHOFER AND OTHERS

背景

フォンヒッペル–リンダウ病や多発性内分泌腺腫症 II 型(MEN-2)の患者のような,褐色細胞腫のリスクが高い患者におけるこれらの腫瘍の発見は,日常診療で行われている生化学検査では,その感度が不充分なために困難となっている.本研究では,フォンヒッペル–リンダウ病あるいは MEN-2 の患者における褐色細胞腫の発見を目的として,血漿ノルメタネフリンおよび血漿メタネフリンの測定値についての評価を行った.

方 法

組織学的に褐色細胞腫と確定されたフォンヒッペル–リンダウ病の患者 26 例と MEN-2 の患者 9 例,および放射線学的には褐色細胞腫の所見が認められなかったフォンヒッペル–リンダウ病または MEN-2 の患者 50 例を対象として研究を行った.フォンヒッペル–リンダウ病と MEN-2 の診断は,それらの疾患に対応した生殖細胞遺伝子の突然変異に基づいて行った.ノルメタネフリンとメタネフリンの血漿濃度を,カテコラミン(ノルエピネフリンとエピネフリン)の血漿濃度と,カテコラミン,メタネフリン,およびバニリルマンデル酸(VMA)の尿中排泄濃度と比較した.

結 果

腫瘍の発見におけるノルメタネフリンおよびメタネフリンの血漿濃度の測定値の感度は 97%であったのに対して,他の生化学検査の感度は 47~74%にすぎなかった.MEN-2 患者では,その全例でメタネフリンの血漿濃度が上昇していたが,フォンヒッペル–リンダウ病の患者では,ノルメタネフリンの血漿濃度だけがほぼ単独で上昇していた.フォンヒッペル–リンダウ病の 1 例は血漿ノルメタネフリン濃度が正常であったが,この患者は非常に小さな副腎腫瘍(1 cm)を有していた.ノルメタネフリンとメタネフリンの血漿濃度の測定値は,腫瘍診断の感度が高いだけでなく,その特異度も高かった(96%).

結 論

褐色細胞腫の家族性素因を有する患者に対しては,血漿中ノルメタネフリンおよびメタネフリン濃度の測定値が,これらの腫瘍のスクリーニングに有用である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 1872 - 9. )