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January 9, 1997 Vol. 336 No. 2

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牛乳中のリステリア菌による胃腸炎と発熱の大発生
AN OUTBREAK OF GASTROENTERITIS AND FEVER DUE TO LISTERIA MONOCYTOGENES IN MILK

C.B. DALTON AND OTHERS

背景

イリノイ州でピクニックの参加者に胃腸炎と発熱が大発生した後,ピクニックで出されたチョコレートミルクがリステリア菌(Listeria monocytogenes)に汚染されていたことが判明した.

方 法

この大発生の調査に当って,われわれはピクニック参加者にインタビューを行って,食べたものと症状に関して尋ねた.関係する酪農工場から牛乳の供給を受けた州において,侵襲性リステリア症に関する調査を開始した.糞便および牛乳サンプルを培養してリステリア菌の有無を調べた.血清サンプルを調べてリステリオリジン O に対する IgG 抗体の有無を調べた.

結 果

45 人が,リステリア菌による疾患の症例定義と合致する症状を示し,11 人の糞便培養から菌体が発見された.ピクニック後の週に具合がわるくなったことはチョコレートミルクの摂取と関連した.もっとも一般的な症状は下痢(症例の 79%)および発熱(72%)であった.4 人が入院した.感染のインキュベーション期間の中央値は 20 時間(範囲,9~32 時間)で,具合がわるくなった人ではリステリオリジン O に対する抗体価が上昇していた.ピクニック後具合がわるくなった人の糞便検体,調査によって同定された別の患者 3 人の無菌部位,関連が示唆されるチョコレートミルク,酪農工場のタンク排出口からの単離菌はすべて血清型 1/2b で,多座酵素電気泳動,リボタイピング,DNA マクロ制限分析上では区別できなかった.

結 論

リステリア菌は,発熱を伴う胃腸炎の原因であり,侵襲性リステリア症の散発症例は,汚染食物によって引き起された未確認の集団発生によるものかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 100 - 5. )