April 10, 1997 Vol. 336 No. 15
肝炎による再生不良性貧血
HEPATITIS-ASSOCIATED APLASTIC ANEMIA
K.E. BROWN, J. TISDALE, A.J. BARRETT, C.E. DUNBAR, AND N.S. YOUNG
肝炎による再生不良性貧血は,肝炎の急発作後に起る再生不良性貧血の変種である.しかし,再生不良性貧血は無処置のままではしばしば致命的となる.疾患の特徴を明らかにし,肝炎ウイルスの役割を調べ,そして免疫抑制治療に対する反応性を評価するため,われわれは米国国立衛生研究所(NIH)に付託されたこの症候群の患者を調べた.
標準的な血液学および生化学検査,骨髄細胞充実性の測定を用いて,治療に対する患者の反応をモニターした.A,B,および C 型肝炎ウイルスによる血清中の抗体および抗原,ならびに C 型肝炎および GB ウイルス C 型の RNA をポリメラーゼ連鎖反応によって測定した.患者全員を抗胸腺細胞グロブリンおよびシクロスポリンで治療した.
1990~1996 年のあいだに肝炎による再生不良性貧血患者 10 人が NIH に付託された;全員がこの症候群の典型的な特徴を有していた.血中に活性化 CD8 T リンパ球の存在を認めた.A,B,および C 型肝炎ウイルスの血清検査は陰性であった;C 型肝炎ウイルス RNA は患者全員で検出不能であったが,GB ウイルス C 型の RNA は患者 3 人に検出された.患者 7 人が集中的免疫抑制治療に対して反応した;まったく反応しなかった 3 人は全員治療 1 年以内に死亡し,このうち 2 人は幹細胞または骨髄移植の合併症のために死亡した.
肝炎による再生不良性貧血の肝炎は,既知の肝炎ウイルスによって引き起されるものではないように思われる.われわれは,骨髄移植可能な HLA 適合親類ドナーのいない患者に対しては免疫抑制療法を推奨する.この症候群のいくつかの特徴により,これが免疫病理学的メカニズムによることが示唆される.