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April 10, 1997 Vol. 336 No. 15

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出血性消化性潰瘍に対するオメプラゾールとプラセボの比較
A COMPARISON OF OMEPRAZOLE AND PLACEBO FOR BLEEDING PEPTIC ULCER

M.S. KHUROO AND OTHERS

背景

出血性消化性潰瘍患者の薬物治療の役割は明確でない.

方 法

われわれは,内視鏡により十二指腸,胃,または口腔潰瘍を認める患者で最近,出血徴候を認めた患者 220 人について二重盲検プラセボ比較臨床試験を実施した.患者 26 人では,潰瘍は動脈出血を示し,34 人では能動的滲出を認め,35 人では出血はないが可視的になった血管を認め,125 人では凝血の付着を認めた.患者を無作為割付けしてオメプラゾール(40 mg を 12 時間ごとに 5 日間経口投与)またはプラセボを投与した.調べた転帰基準はその後の出血,手術,そして死亡とした.

結 果

オメプラゾール治療患者では 110 人中 12 人(10.9%)が出血し続けたか,または再出血したが,これに対し,プラセボ治療患者では 110 人中 40 人(36.4%)(p<0.001)であった.オメプラゾール群では患者 8 人およびプラセボ群では患者 26 人が出血をコントロールするために手術を必要とした(p<0.001).オメプラゾール群では患者 2 人およびプラセボ群では患者 6 人が死亡した.オメプラゾール群では患者 32 人(29.1%)およびプラセボ群では患者 78 人(70.9%)が輸血を受けた(p<0.001).サブグループ分析では,オメプラゾールの投与により,非出血性の血管可視または凝血の付着を示す患者では,出血の再発,または手術の必要性が有意に減少したが,動脈出血または血液滲出患者では有意な減少はなかったことが示された.

結 論

最近出血の徴候を示す出血性消化性潰瘍患者では,オメプラゾールによる治療によりその後の出血率が低下し,手術の必要性が減少する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1054 - 8. )