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May 29, 1997 Vol. 336 No. 22

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鼠径部ヘルニア修復に対する従来の腹部手術と腹腔鏡手術の比較
COMPARISON OF CONVENTIONAL ANTERIOR SURGERY AND LAPAROSCOPIC SURGERY FOR INGUINAL-HERNIA REPAIR

M.S.L. LIEM AND OTHERS

背景

鼠径部ヘルニアは,腹腔鏡技法によって修復可能で,小規模試験では開腹手術より良好な結果が得られている.

方 法

無作為多施設臨床試験を実施して,鼠径部ヘルニア患者 487 人を腹膜外腹腔鏡修復によって,そして患者 507 人を従来の腹部手術によって治療した.術後の回復および合併症に関する情報を記録し,術後 1 週と 6 週目,6 ヵ月,そして 1 年と 2 年目に患者の再発の有無を調べた.

結 果

開腹手術群の患者では,6 人に創部の膿瘍を認めたのに対し,腹腔鏡手術群では認めず(p=0.03),腹腔鏡手術群の患者は開腹手術群の患者より回復が早かった(通常の日常活動を再開するまでの期間の中央値,6 対 10 日;職場に復帰するまでの期間,14 対 21 日;運動活動を再開するまでの期間,24 対 36 日;すべての比較について p<0.001).追跡期間の中央値である 607 日目では,開腹手術群の患者 31 人(6%)が再発したのに対し,腹腔鏡手術群での再発は患者 17 人(3%)であった(p=0.05).腹腔鏡手術群では 3 人を除く全員が術後 1 年以内に再発したが,これは手術医によるミスが原因であった.開腹手術群では,患者 15 人が 1 年目に再発し,16 人は翌年に再発した.患者の 97%について完全に追跡調査を実施した.

結 論

腹腔鏡修復を受けた鼠径部ヘルニア患者は,開腹手術修復を受けた患者より回復が早く,再発が少ない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1541 - 7. )